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巨大乳業メーカーの設立を提案(NZ)



【シドニー駐在員 野村  俊夫 5月13日発】ニュージーランド(NZ)の酪農
乳業界では、デイリーボード(NZDB)の組織改革をめぐって激論が交わされて
いるが、今度は、現存する大部分の酪農組合(乳業メーカー)を統合して単独の巨
大な乳業メーカーを設立するという提案が発表されて注目を集めている。

 NZでは、酪農乳業の将来のあり方について検討していた諮問委員会が、5月初
め、現存する大部分の酪農組合(乳業メーカー)を統合して、「メガ・コープ」と
仮称される単独の巨大な乳業メーカーを設立することを提案した。

 同委員会は、主要な酪農組合の代表などで構成されており、NZDBが、規制緩
和後の酪農乳業界の再編について検討を依頼していたものである。

 同委員会は、今回の提案を行った理由として、乳業メーカーを1つに統合して製
造部門の合理化を推進することにより、NZ酪農乳業界が年間約3億NZドル(約
207億円:1NZドル=69円)の収益増加を見込めることを挙げている。

 今回の提案は、5月初旬から全国で20回にわたって開催される討論会で説明さ
れることとなっており、多くの関係者の意見が聴取される予定である。

 仮に、提案通り「メガ・コープ」が設立されるとすれば、NZで生産される生乳
の95%(年間約1千万トン)を処理する巨大な乳業メーカーが誕生することとな
り、酪農組合としても世界で12番目に規模が大きなものとなる。

 現在、NZの酪農乳業改革においては、乳製品の輸出販売を一元的に行っている
NZDBの組織改革案(輸出販売部門と酪農サービス提供部門の分離など)が既に
提示さており、今回、乳製品製造部門の再編に関する具体的な青写真が提示された
ことにより、おぼろげながら全体の輪郭が示されてきたと言えよう。

 NZ政府食料繊維省のラクストン大臣は、今回の提案に対し「前進に向けた大き
な一歩」と歓迎する声明を発表する一方、今回の提案を実現するに当たっては、公
共政策の面で多くの条件をクリアしなければならないとクギを刺した。

 これは、商法上、巨大な組合企業の設立が問題となる可能性があることや、独占
を監視している商業委員会の認可を受けなければならないことなどを指している。
また、酪農家が生乳の販売先を自由に選択する権利を失う場合には、新たな問題が
生ずることになる。

 さらに、これまでし烈なシェア争いを繰り広げてきた大手の酪農組合同志が、過
去の経緯をよそにすんなりと統合できるのかという問題も残されている。

 今回の提案に対する豪州酪農乳業界の反応は複雑である。これまでひそかにNZ
の酪農組合との合併を画策してきた勢力は、その可能性が事実上絶たれたことに落
胆している。一般的には、豪州最大の乳業メーカーの3〜4倍に相当する巨大なラ
イバルが隣国に出現するという事態に、著しい脅威を抱いていることは否定できな
い。
 NZDBのストーリー会長は、単独乳業メーカーの設立がNZ酪農乳業の国際競
争力を大いに高めるとして、関係者の理解を得ることに自信を示しているが、思惑
通りことが運ぶか否か注目されている。


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