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USDA、食肉取引情報の報告義務化規則案を発表



【ワシントン駐在員 樋口 英俊 3月30日発】米農務省(USDA)は3月1
7日、99年家畜強制報告法に基づく、食肉加工処理業者(パッカー)などに対す
る取引情報の報告義務化に関する規則案を発表した。

  報告義務の対象となるパッカーは、過去5年間の年平均と畜頭数が、肉牛につい
ては12万5千頭、豚については同10万頭、子羊については同7万5千頭を超え
る者である。また、同規則案では子羊肉の輸入について、過去5年間の年平均輸入
量が5千トンを超える輸入業者も対象とされている。これらの業者には、肉牛、豚、
子羊、子羊の枝肉および部分肉の購入取引、また、牛部分肉および子羊部分肉の販
売取引に関する詳細な情報の報告義務が課せられる。

  これらの情報について、肉牛購入の場合の例を挙げると、タイプ別、国産および
輸入品別、価格決定方法別などの買入価格、国産および輸入品別などの購入頭数、
生体・枝肉重量、品質格付け、プレミアムまたは値引きなどが含まれる。また、報
告回数については、豚の購入の場合1日3回、肉牛と子羊の購入および牛部分肉の
販売の場合は1日2回とすることなどが定められている。

  これらのデータの提供について、USDAの担当部局である農業マーケティング
局(AMS)は、寄せられたコメントを参考に、より理解しやすい方法で正確に提
供できるよう検討するとしているが、当初は情報の機密性を考慮して全国レベルの
データだけを提供していくものとみられる。一方、AMSが大量のデータを取り扱
うことに関して、その対応を疑問視する声も聞かれるが、AMSはスタッフの雇用、
新たなソフトウェアの開発、必要な機器の購入なでで対処するとしている。

  なお、報告の遅延、虚偽の報告などに対しては、罰金その他のペナルティが科さ
れることとされている。

  99年家畜強制報告法は、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)や全国豚肉生
産者協議会(NPPC)などの生産者団体の強力な支持の下、2000年農業歳出
法案の一部として昨年10月に成立したものである。

  同法が法制化された背景には、近年のと畜・加工部門の集中化、垂直的調整の進
展といった市場構造の変化に伴い、取引方法が変化することなどで市場取引情報が
不足し、適正な価格形成が阻害されているとの生産者の懸念があった。USDAは、
現在、同省が提供している市場情報では、肉牛取引の35〜40%、豚取引の75
%、子羊取引の40%がカバーされていないとみている。生産者団体は、今回の規
則案発表に対して歓迎の意を表しており、NCBAは、市場情報の充実が、必ずし
も生産者の利益増大につながるわけではないものの、市場動向をより的確に把握で
き、生産者の意思決定がより確実になるとコメントしている。

  同規則案は30日間のコメント収集を経て、夏ごろには施行されるものとみられ
る。


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