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豪州連邦政府、GM管理に関する法案を議会に提出



【ワシントン駐在員 幸田 太 6月29日発】豪州連邦政府は6月22日、遺伝子
組み換え(GM)作物の適切な利用を図るため、すべてのGM作物を対象に、生産
管理や安全性確保を内容に盛り込んだ遺伝子技術法案(GTB:The Gene Technol
ogy Bill)を議会に提出した。その具体的内容は、新たに遺伝子技術局(GTR)
を設置し、GM作物の安全性に係る調査の実施と、生産面や、商業上の利用面につ
いて的確な管理を行うというものである。また、管理強化のため、GTRに、違反
者に対する罰金、刑事罰を課す権限を与えることも検討されている。

 今回の法案提出の背景には、GM作物が食生活の中に混在している事情があり、
かねてから連邦政府が行っているGM作物の表示義務などに加え、さらに厳格な管
理体制を確立することにより、消費者の不安を払しょくしたいとする意図があるも
のと考えられる。

 法案審議前の検討委員会では、一部委員からGM作物が環境と人体に与える影響
を長期的に評価するため、今後5年間は商業化を禁止するべきとの意見もでていた。

 連邦政府のウードリッチ保健相は「現在のGM作物への規制は、科学的根拠を持
たず、不十分である。このため、今回の法案は、GM作物の利用について消費者に
大きな信頼を与える。」と述べ、本法案成立に向けて前向きな姿勢を見せている。
このため、技術専門家を配置し、その体制を強化するとしている。

 また、時期を同じくして、豪州・ニュージーランド食品基準局(ANZFA)は、
安全認可申請を受けていたGM作物(トウモロコシ、カノーラ、コットン)に対す
る安全性確認の報告書を公表すると同時に、GM作物についての小冊子「GM作物
と消費者」を発表した。

 これは、豪州やニュージーランド、米国の著名な研究者のコメントを引用し、G
M作物の安全性に対する消費者の不安感を払しょくするとともに、GM作物の定義
や必要性、また、安全性検査について分かりやすく記載しており、先に公表された
安全性検査結果についてのパブリックコメントを引き出す参考書的な役割も兼ねて
いる。

 一方で、政府や研究機関のGM作物に対する取り組みに反して、流通サイドでは、
非GM作物に対する取り組みが進みつつある。

 豪州の大手飲用乳メーカーであるナショナルフーズ社は、原料の供給者である酪
農家に対し、来期の原料乳契約に際して、乳牛の飼料にGM作物を使用しない旨を
契約書に付け加える意向を示しており、シドニーなど大消費地を抱えGM作物に対
する消費者の不安を取り除くことで販売促進に結び付ける戦略を打ち出している。

 いずれにしても、注目されているGM作物については、新技術と安全性に対する
消費者の不安をどのように解消させて行くかがカギになることは間違ない。


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