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オリンピックで牛肉消費を促進(豪州)



【シドニー駐在員 幸田 太 9月14日発】豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)
は、今月15日から開催される「シドニー2000オリンピック」において、ミート・ス
タンダード・オーストラリア(MSA)規格の牛肉の消費促進活動を展開すると発
表した。

 これによると、MLAは、国際オリンピック委員会(IOC)が公式スポンサー
各社と各国派遣団を招待して開催するディナーに、豪州マリー・グレー協会、食肉
販売会社、ケイタリング会社などの協力を得て、MSA規格の牛肉をメインディシ
ュに据えたディナーを提供する。

 提供される牛肉は、MSA規格に基づき生産された200頭のマリーグレー種で、
出荷前に70日間の穀物肥育を施したものとされている。

 協力を申し出た食肉販売会社は、今回提供されるマリーグレー牛肉が、予想以上
の品質であり、究極のディナーを提供できると自信を示している。

 MLAも、国内外の来賓にMSA規格の牛肉の味を体験させるための絶好の機会
と捉えており、最高の結果を保証するとその自信のほどを述べている。

 IOCの発表によれば、シドニーオリンピックは、9月15日から10月1日までの
17日間で、200ヵ国の選手、関係者約1万5千人、大会運営者10万人、観戦者900万
人が訪れるとされている。

 開催期間だけでも、通常約400万人のシドニーの人口は、2倍以上に膨れ上がり
巨大なマーケットが誕生することとなる。

 したがって、オリンピックは、MLAにとって国内外からの人々に、MSAの知
名度を高める絶好のチャンスであることは間違いない。

 先日、オリンピック選手団の到着に先駆けて20トンの赤身牛肉が選手村に運び込
まれて話題を呼んだ。選手たちは、自らの完璧なコンディションを維持するべく、
赤身の牛肉を好んで食するため、オリンピック期間の3週間、選手村の食事に赤身
牛肉を使用するよう要求していたが、IOC側がそれに配慮したものとされる。

 赤身牛肉は、栄養面で鉄分、亜鉛、良質のタンパク質を少量で効率よく摂取でき
る最適な食品とされ、特にトライアスロンやマラソン選手などの長距離走者が、オ
リンピックメニューとして利用している。

 なお、選手、関係者の宿泊施設となる選手村は、メインダイニングホールが5千
席、シェフ250名、各国の料理、宗教に対応するため170のメインメニューを用意し、
1日平均6万食を供給する。推計によれば、オリンピックと前後して開催されるパ
ラリンピックとの合計開催期間33日間に提供される食事は、200万食となり、牛肉
110トン、ラム18トン、パン2万5千斤が食材として消費される見通しである。

 近年、豪州の国内牛肉消費量は、好調な輸出需要とは裏腹に伸び悩んでおり、国
民1人当たりの牛肉消費量は、97年(39.6s)、98年(38.4s)と低下している。
このため国内消費の拡大がMSA導入の主要な目的であった。

 オリンピックにおける消費促進活動が、今後、伸び悩む国内消費を刺激し、さら
に国際市場にMSAをアピールすることができるか、その動向が注目される。


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