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NZの2大酪農組合が合併案を承認



【シドニー駐在員 野村 俊夫 6月20日発】ニュージーランド(NZ)の2大
酪農組合(乳業メーカー)であるNZ・デイリーグループ(NZDG)とキウイは
6月18日、それぞれの本拠地で別々に組合員大会を開催し、両組合とNZ・デイリ
ーボード(NZDB)を合併してひとつの巨大な乳業企業(仮称グローバル・デイ
リー・カンパニー:GDC)を設立するという提案を賛成多数で承認した。この承
認には両組合員の75%以上の賛同が必要とされていたが、NZDG組合員の約85%、
キウイ組合員の約83%が合併案に賛成し、長年にわたる両組合間の確執に歴史的な
終止符を打った。

 NZ政府は、この結果を受け、ただちに関連法規の改訂案を国会に提出するとし
ている。法律改訂の作業が完了するのは9月頃になるとされているが、NZの酪農
年度(6〜5月)にかんがみ、GDC設立の関連法規の改訂は6月1日に遡及(そ
きゅう)して摘要実施されるとみられている。

 NZでは約1万3千戸の酪農経営が年間約1,100万トンの生乳を生産しているが、
GDCは国内の約95%の生乳を処理加工し、乳製品を販売(輸出を含む)する独占
的な乳業企業となる。一方、政府がGDCの海外事業部門を商務委員会による独占
禁止審査の対象から除外すると決定したため、両組合は国内向け乳製品販売部門の
一部を売却するだけでGDCの設立許可を得られることになった。

 今後、GDCは総販売額が世界第9位の乳業企業として国際市場に登場し、世界
の乳製品貿易の30%近いシェアを単独で占めることになる。

 なお、NZからの乳製品輸出はNZDBが法律に基づいて一元的に行っているが、
GDCの設立後は輸入制限市場向けの品目とそうでないものとに区分した上で、双
方ともに段階的に輸出規制を撤廃するとされている。

 一方、NZにおけるGDCの設立は、豪州乳業界にも多大な影響を及ぼすとみら
れている。今回合併を決めた3者は、従来から、それぞれ単独で豪州乳業界への進
出を進めてきたが、今後はこれらが必然的に一本化され、強化されるためである。

 しかし、こうしたNZの動きに対し、豪州側は身動きが取れない状況に陥ってい
る。豪州では昨年7月に飲用向け生乳の流通販売が完全に自由化されて以来、量販
店の影響力が著しく強まり、すべての飲用乳メーカーが牛乳卸売価格の下落と収益
の悪化に直面しているためである。

 豪州3大飲用乳メーカーのうち唯一の組合系であるデイリーファーマーズ社は、
奇しくもNZと同じく6月18日に組合員大会を開催し、株式の25%を一般に公開し
て外部資本の参加を求めるという経営再建計画を諮ったが、組合員の承認を得られ
ず、暗礁に乗り上げた。同社と競合関係にあるナショナルフーズ社は、既に約20%
の株式をNZDGによって保有されている。さらに、豪州2大乳製品メーカー(と
もに組合系)のひとつボンラック社も経営が行き詰まり、先月からNZDBによる
資本参加と業務提携を受け入れている。

 従来から、国際乳製品市場で巨大多国籍企業に対抗するにはオセアニア規模の乳
業再編が必要との議論がなされてきたが、実際には実現の可能性が低いとされてい
た。しかし、昨今のNZ・豪州両国の状況を見る限り、さほど遠くない将来にオセ
アニア全体の乳業再編が行われるというシナリオが、非現実的とは言えない状況に
なりつつある。

(注)GDCの設立過程の詳細については、「畜産の情報」(海外編)2001年6月
号を参照


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