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EU農相理事会、欧州食品安全機関創設規則を承認


【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 1月24日発】EU農相理事会は1月21日、欧
州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)創設等に関する
規則を承認した。なお、EFSAの設置場所については調整がつかず、EU本部
のあるブラッセルに暫定的に設置されることになった。欧州市民に対し、できる
限り最高に安全な食品を提供するための基幹組織としての活動が期待されている。
EFSAの役割および組織体制の概要は以下のとおりである。

(役割)

 EFSAの役割は、食品および飼料の安全に直接または間接に影響するすべて
の分野において、科学的な助言を行い、EUの法令および政策を支持することで
ある。主な役割は、次の6つである。

@食品安全、その他の関連事項(家畜衛生・動物福祉、植物衛生、遺伝子組み換
え(GM)作物、栄養など)について、EU委員会、欧州議会、加盟国の要請に
応じ、危機管理の決定の基礎となる、独立した科学的な助言を行うこと

A食物連鎖に関連する政策展開および法令を補強するため、食品問題に関する技
術的な助言を行うこと

BEUにおける食物連鎖の安全性を監視するために必要な、食事様式、ばく露、
その他の潜在的な危険性に関するデータ・情報の収集および分析

C危険性の発生の確認および早期警告

 EFSAは、EU委員会により管理される迅速警告(ラピッド・アラーム)シ
ステムの一員となる。食品および飼料を対象に、人の健康に直接または間接に大
きく影響するどんな情報も加盟国からシステムに通報される。情報は直ちにEU
委員会から構成員(加盟各国およびEFSA)に転送される。EFSAは、加盟
国が迅速かつ適切な危機管理を行うのに役立つ、科学的・技術的情報の追加提供
を行う。

D危機におけるEU委員会への支持

 EU委員会は依然、危機管理対策について、議会および理事会に提案し、緊急
対策を決定する責任を持つ。危機管理対策としては、食品または飼料の流通禁止、
流通の制限などが考えられる。EFSAは危険性の発生確認業務に加え、危機管
理を補佐する。危機においては、EU委員会は直ちに危機管理部局を設け、EF
SAはその一員となり、必要な科学的・技術的助言を提供する。同部局はすべて
の関連情報を収集・評価し、危険性を効果的・迅速に防止・減少させるための選
択肢を特定するとともに、危機における広報も担当する。

E権限を持つすべての事項に関する一般大衆への情報提供

(組織体制)

 EFSAは、管理委員会、執行委員長、諮問委員会、科学パネルで組織される。

 管理委員会は、消費者および業界関係者を含む14人およびEU委員会代表者1
人の計15人で、任期は4年である。

 執行委員長を補佐する諮問委員会は、各国の同様な役割を持つ機関から1人ず
つ計15人で構成される。

 科学パネルは、公募され、管理委員会から任命される独立した科学的専門家で
構成される。これらの科学者はEFSAの雇用者にはならない。科学パネルは、
食品添加物など、家畜飼料、植物衛生・農薬など、GM作物、栄養・アレルギー、
伝達性海綿状脳症・牛海綿状脳症を含む生物学的危害、家畜衛生・動物福祉につ
いて、分野ごとに設置される予定である。

 なお、今回承認された規則では、EFSAの創設のほか、EUにおける食品法
に関する一般要件などが規定された。例えば、事業者は安全な食料・飼料のみを
市場流通させ、安全でないものを市場から排除することに責任を持つこと、食品
・家畜飼料・飼料添加物などの追跡可能性を確立することと規定されている。


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