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ナショナルフーズ、スーパー最大手とPBの全国契約(豪州)


【シドニー 粂川 俊一 6月27日発】豪州乳業大手ナショナルフーズは6月中旬、
スーパーマーケット最大手ウールワースとのプライベートブランド(PB)牛乳の
供給契約に関する入札においてすべての州での供給の落札をした。この結果、同社
は今年9月から2年間にわたり、豪州全土のウールワースに対してPB用の飲用乳
を供給することとなる。

 2000年7月に行われた酪農乳業制度改革の直後に実施されたスーパーマーケット
のPB牛乳の供給契約に関する入札は、乳価下落の端緒となり、飲用乳供給地域を
中心に酪農経営に多大な影響を及ぼしたため、酪農生産者にとって良くない出来事
のひとつとも言われていた。特にウールワースは小売部門の約4割を占める最大手
であり、その価格設定が他のスーパーマーケットに与える影響が大きいことから、
今回の入札は注目を集めていた。

 ナショナルフーズは従来、ニューサウスウェールズ州、西オーストラリア州、タ
スマニア州、北部準州においてウールワースとの供給契約を結んでいたが、今回の
入札の結果、新たにクインズランド州、ビクトリア州、南オーストラリア州におけ
る供給契約を結ぶこととなる。新たな州における従来の供給業者は協同組合系のデ
イリーファーマーズであった。

 今回の契約は飲用乳市場において前例がない全国的な供給契約であり、ナショナ
ルフーズは今後、全国の飲用乳市場の約8%を供給することとなり、同社の飲用乳
供給量を現在の約8万キロリットルからおよそ20万キロリットルにまで高めるとさ
れる。

 ウールワースは、今回の新たな契約に関して、契約の基礎となる供給価格は公表
していないが、2年間にわたって1リットル当たり5豪セント(3.5円:1豪ドル
=70円)の段階的な値上げを示唆しており、これにより生乳生産者や乳業会社に対
する経営圧迫の圧力が軽減され、特に生産者の不安と取り除くとしている。その結
果として、2年間にわたって小売価格が約4%上昇すると見込んでいる。

 この5豪セントの段階的値上げについて、豪州酪農生産者連盟(ADFF)では、
「5豪セントの大部分が2年にわたって生産者に還元されるべきであるというウー
ルワースの意見をナショナルフーズが履行することに期待する」としている。しか
し、ナショナルフーズでは、「我々は協同組合ではないため、会社の利益は株主へ
の配当とされ、生乳供給者に自動的に還元されることはない」とあくまでも支払う
べき乳価は競争や需給の要因によるものであるとしているため、両者の見解は大き
く異なっており、その取扱いは不透明である。

 また、ナショナルフーズは現在、生乳取引における生産者の団体交渉権の認可を
行った豪州自由競争消費者委員会(ACCC)を相手として、豪州自由競争審判所
(ACT)に提訴しており(「海外駐在員情報」4月16日号参照)、その審議は来
年の2月ごろまで続くことが予想され、同社の生産者に対する乳価の取扱いが注目
される。

 一方、今回の入札で従来の供給先を失ったデイリーファーマーズは、その収入の
約5%と飲用乳供給量の約7%を失ったとされるが、「失望したが、ビジネスにお
ける通常の勝ったり負けたりの出来事の1つ」として基盤となる販路に影響はない
としている。

 しかしながら、今回の入札の結果、業界再編の動きが再び加速する見方もある。
ナショナルフーズをめぐっては、同社が上場企業であることから、今年に入り、株
主としてデイリーファーマーズと多国籍企業ダノンが参入し、現在、同社の大株主
として、ニュージーランドのフォンテラ(約18%)、デイリーファーマーズ(約9
%)、ダノン(約10%)が名を連ねている。特にデイリーファーマーズについては、
過去において合併論議もあったことからその関係は複雑な様相を呈している。


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