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カナダ、新たな農業政策の枠組みを策定


【ワシントン 道免 昭仁 6月27日発】クレティエン首相とヴァンクリフ農業・
農産食料大臣は6月20日、昨年6月の連邦政府と各州政府間で合意した基本計画に
基づき、食品の安全性や品質、環境、経営リスクマネジメントなど5分野にわたる
2003年から5年間の新たな農業政策の枠組み(Agriculture Policy Framework:
APF)を発表した。

 その概要は、次のとおりとなっている。

1. 食品の安全性と品質:生産段階から消費者に至るすべてのフードチェーンにお
 ける追跡システムの促進や生産段階での安全性と品質を監視するシステムの構築
 を支援すること。

2. 環境:農業と環境に関する情報提供や調査、環境リスクに対する最適な管理方
 法の策定を支援すること。

3. 経営リスクマネジメント:天候不良による作物収量減などに対する対処療法的
 な現行のセーフティーネットプログラムに加えて、将来における経営リスクを低
 減するための新たなアプローチを検討する。この場合、作物保険や純所得安定口
 座(NISA:農家の純所得の安定を図るため、農家、政府が農家個人の口座に
 金銭を拠出しておき、所得低下時にはその口座から不足分を引き出し補てんする
 制度。)のような現行プログラムを基礎とした生産者にとって選択の幅の広い総
 合的なシステムの確立を目標とする。

4. 知識啓発:生産者が新たな知識を習得するためのコンサルティングサービスや
 市場に関する情報提供などを促進する。

5. 技術革新:食品の安全性や環境などの分野において最大の投資効果が期待でき
 るよう官民が連携して調査や技術革新を行うことに対し支援する。

 こうした新たな農業政策を行うのに必要な予算額として、総額81億8千万カナダ
ドル(約6,462億2千万円:1カナダドル=79円)が計上され、このうち連邦政府が
約6割の52億カナダドル(約4,108億万円)を負担し、残りの約4割を州政府が負
担することとなる。

 なお、連邦政府分の予算の内訳は、以下のとおりとなっている。

1  APFを実施するのに要する経費として34億カナダドル(約2,686億円)

2  新たなリスクマネジメントプログラムに移行するまでの今後2年間に限り、現行
 の収入支援プログラムへの上乗せ分として12億カナダドル(約948億円)

3  APFに移行するまでの間の環境対策や輸出促進などのための経費として約6
 億ドル(約474億円)

 今後は、6月27、28日にハリファックスで開催される会合における連邦大臣およ
び各州大臣との合意を経た後、実施のための規則等の制定作業が開始されることと
なり、新たな農業政策の具体的内容の決定に関する今後の動きが注目されるところ
である。さらに、これに対して生産者団体等がどのような反応を見せるのかも気に
なるところである。


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