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アルゼンチン、2002〜2004年豚コレラ撲滅計画を策定


【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 10月30日発】  アルゼンチン農畜産品衛生
事業団(SENASA)のカネ総裁は10月15日に、「2002〜2004年豚コレラ撲
滅計画」を発表し、「豚コレラを撲滅することは、豚肉輸出の拡大と養豚部門
への投資を促す門戸を開くものだ」と述べた。

 アルゼンチンの豚コレラ対策は、家畜伝染病の侵入およびまん延防止等を目
的とした法律第3959号のうち畜産関係者等への立入調査権等を大統領から行政
に付与した第10条(1967年2月2日改正)に基づき、以下のような対策が実施さ
れてきた。

@ 決議第498号(1981年11月4日):全国的なワクチン接種の義務づけ

A 決議第79号(1993年1月18日):豚コレラワクチンの品質を管理するにあた
    り、温度管理など技術的に遵守すべき事項を規定

B 決議第1067号(1994年9月22日):家畜衛生対策プログラムへ参加する開業
    獣医師の資格を規定するとともに、その登録制度を創設(ただし、養豚関
    係は1996年から実施)

C 決議第392号(1998年7月2日):豚コレラをコントロールする目的で、1998〜
    2000年撲滅計画を策定(ただし、ウイルス活性調査が終了しなかったため
    、2001年まで延長)

D 決議第779号(1999年7月26日):家畜疾病のまん延防止を図るための全国衛
    生緊急システムを策定

E 決議第354号(2001年3月9日):ワクチン接種の免除およびワクチン接種の有
    無にかかわらず豚コレラ・フリーである証明書を取得するために、生産者
    が実施すべきバイオセキュリティー関係の事項を規定

 今回、決議第834号( 2002年10月11日)において定められた「2002〜2004年豚
コレラ撲滅計画」は、1998〜2000年計画で実施したウイルス活性の調査結果が
ゼロであったことに基づき、2004年5月に国際獣疫事務局 (OIE)から豚コ
レラ清浄国のステータスを得るために、2003年4月を目途にワクチン接種を中
止することが大きな目的である。

  アルゼンチン養豚協会(AAPP)のウチェリ会長は、「1800年末にアルゼン
チンで最初に発見された豚コレラは、一世紀以上にわたり経済的被害をもたら
してきた。現在も関係者は注意して監視を続け、幸いなことに99年5月から約
3年半確認されていない。豚コレラが撲滅されれば、養豚産業に2億5千万ペ
ソ( 約85億円:1ペソ=34円)の投資を促し、1万5千人分の職場を確保する
ことになる。さらに、通貨下落により相対的に価格競争力がついており、穀物
を輸出するだけでなく、穀物に高付加価値をつけて販売するための雇用を伴う
生産形態への移行が可能となる」と語った。

  また、カネ総裁は、「AAPPがまとめた資料に生産コストの分析があるが、
アルゼンチン産豚肉はキロ当たり0.47ドル(約57.8円:1ドル=123円)、ブラ
ジル産が0.49ドル(約60.3円)、チリ産が0.63ドル(約77.5円)となっている
。衛生上の問題を解決して日本、ロシア、米国などの市場へアクセスできるよ
うになれば、アルゼンチンの生産性の高さを輸出というかたちで有効に利用で
きることになり、豚コレラ撲滅計画の重要性が理解できるであろう」と語った。

○パラグアイで口蹄疫発生:9月23日にパラグアイで口蹄疫の疑いのある小水
  疱を呈した牛が数頭見つかった件に関し( 海外駐在員情報第552号を参照)
  、10月14日からメルコスル等関係6カ国が現地調査を実施した。10月31日、
  パラグアイ衛生当局およびブラジル農務省は、それぞれプレスリリースで「
  10月31日にパンアメリカン口蹄疫センターかO型ウィルスが検出されたとの
  報告を受領した」と発表した。
  

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