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イギリス食品基準庁、鶏卵について再度注意喚起


【ブラッセル駐在員 関 将弘 10月31日発】 イギリス国内においては、8月
以降、6件のサルモネラ食中毒の発生により350人以上が被害を受けた。イング
ランド北西部における10月の食中毒では2名が死亡している。
 
 イギリス食品基準庁(FSA)は、鶏卵を安全に食べる上での注意事項につい
てホームページに掲載し、人々に注意を呼びかけているが、10月15日、2つの地
域での食中毒に同一の食品製造業者が使用した鶏卵が関連していたことから、食
品製造業者に対し、適切に調理することまたは低温殺菌された鶏卵のみを使用す
ることを求める勧告をした。

 その後、イングランドおよびウェールズにおけるサルモネラ食中毒についての
調査の結果、スペイン産鶏卵が多くの患者に関連していると判明したことから、
FSAは10月29日、スペイン産鶏卵の輸入業者および卸売業者に対して、熱処理
したものを輸入・販売するようにとの指導を行った。これと同時に、この点につ
いて、EU委員会とスペインの食品安全当局に対して問題提起した。

 さらに、FSAは、イギリス産、スペイン産を含むすべての鶏卵について、適
切な取り扱いについての勧告を繰り返して発した。これは、輸入鶏卵のみがサル
モネラ中毒の原因ではないこと、また、すべての食品製造業者がFSAの勧告に
従っているわけではないことが判明したためである。

FSAの主な勧告内容は以下の通り。
 ・食品製造業者が、食べる前に加熱しないか、またはわずかしか加熱しないデ
    ザートなどの食品を製造する場合は、通常の鶏卵よりも、低温殺菌された鶏
    卵を使用すべき

 ・鶏卵を使用している家庭の台所や食品事業所では、適切な食品衛生管理が、
  汚染を防止する上で非常に重要

 ロジャー・スキナーFSA微生物安全局長は、「われわれは、食中毒の発生原
因を分析し、スペイン産鶏卵についてサルモネラ菌を殺菌しなければならないと
いう勧告が必要だと確信した。しかしながら、イギリス産やその他の輸入鶏卵の
衛生状態について満足しているわけではない。食中毒発生原因の少なくとも1つ
はイギリス産鶏卵であったためである。鶏卵の中にはサルモネラ菌に汚染されて
いるものがあり、これらについては適切な取り扱いをしなければならないという
ことはずっと以前から知られている。しかしながら、食中毒患者の中には、FS
Aの勧告を聞いていない者がいるということを懸念している。家庭の台所や食品
事業所において鶏卵の適切な取り扱いを行うことはきわめて重要であり、人々は、
われわれの勧告を守り、自分自身や他の人を守る必要がある」と語っている。

 FSAによれば、イギリス国内の食中毒患者の多くは、サルモネラの特定の種
であるEnteritidis PT14b によるものであり、スペイン産の鶏卵の中には、検査
の結果、この種に陽性反応を示しているものがある。なおFSAは、スペイン産
と同様に他の輸入鶏卵およびイギリス産鶏卵についても調査中である。

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