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2002年上半期の貿易収支は大幅黒字(アルゼンチン)


【ブエノスアイレス 玉井 明雄 8月28日発】 国家統計局(INDEC)が
発表したアルゼンチンの貿易動向によると、2002年上半期(1〜6月)の
輸出額(FOBベース)は、前年同期比7%減の124億6百万ドル(1兆
4,827億円:1ドル=119円)となった。一方、同国の経済情勢の悪化や、
今年1月の通貨切り下げなどによる影響で、同期の輸入額が63%減の42
億3千百万ドル(5,118億円)と著しく減少したことから、貿易黒字は約
4.4倍の81億7千5百万ドル(9,728億円)となった。
 
  アルゼンチンでは、農林水産品(1次産品)およびその加工品の輸出額
が全輸出額の5割以上を占め、外貨獲得上、極めて重要な位置付けにある。
2002年上半期の農林水産品およびその加工品の輸出額は、前年同期比1.3
%減の67億5百万ドル(8,033億円)となった。この内訳を見ると、1次産
品は10%減となる一方、農林水産加工品は8%増となった。

 主要農産物輸出額の増減率を見ると、1次産品では、トウモロコシが17
%減、大豆が19%減、小麦が2%増などとなった。アルゼンチン農牧水産
食糧庁(SAGPyA)によると、トウモロコシおよび大豆の減少要因と
して、経済混乱から生産者が出荷を控えたことが大きいとしている。また、
農林水産加工品では、大豆かすが16%増、大豆油が41%増、ヒマワリ油が
59%増などとなっている。

  畜産部門では、食肉が9%増、酪農品・鳥卵が15%増となった。アルゼン
チン農畜産品衛生事業団(SENASA)の統計によると、2002年上半期
の牛肉輸出量は、生鮮肉(冷蔵、冷凍)が20%減の25,700トンとなったが、
EU向け高級牛肉の関税割当枠(ヒルトン枠)については、約5倍の26,900
トンと著しく増加した。同国では昨年3月、口蹄疫が発生したため、EU
などが輸入禁止措置を行ったが、EUは今年2月1日に3州を除き輸入を
解禁し、その後、全州からの輸入を解禁している。また、牛乳・粉乳類の
輸出量も、前年同期比51%増の77,200トンと大幅な増加となっている。
なかでも、主に南米近隣諸国、アフリカ、および中東向けに輸出している
全粉乳の伸びは大きく、2001年の年間輸出量83,300トンの8割弱に当たる
65,000トンとなった。

 2002年の貿易動向について、アルゼンチン外務省レドラド次官によると、
下半期の輸出額は、新規市場の開拓などにより、上半期に比べて22億ドル
(2,618億円)の増加が見込まれるとしている。同国では、いまだに経済
混乱が収束に向かう気配が見えないものの、通貨安を背景にどこまで輸出
を伸ばすことができるか今後の動向が注目される。

	 
      アルゼンチンの品目別輸出額(FOBベース)	
					
                                  (単位:百万ドル、%)	
 

 

2001年

1〜6月

2002年

1〜6月

対前年同期比
農林水産品(1次産品) 3,466 3,105 -10
      穀物類 1,534 1,420 -7
油糧種子等 776 672 -13
魚介類 330 265 -20
生鮮果物 334 280 -16
野菜類 114 90 -21
その他 378 378  0
農林水産加工品 3,330 3,600 8
     油脂 644 893 39
食品残さ 1,085 1,227 13
食肉 221 240 9
皮革・毛皮 419 326 -22
酪農品・鳥卵 133 153 15
その他 828 761 -8
鉱工業製品 4,233 3,708 -12
燃料・エネルギー 2,366 1,993 -16
輸出額合計 13,395 12,406 -7
資料:国家統計局(INDEC)			
         
          
          
         
         
    
 

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