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輸出再開でウルグアイの牛肉生産が回復


 
輸出再開で2002年の牛肉生産量は大幅増加

 ウルグアイ農牧水産省農牧計画政策局(OPYPA)は先ごろ、同国における2002
年の牛肉需給動向と2003年の見通しを発表した。その概要は次の通りである。

  同国における牛飼養頭数は、牧草の生育状態が良好で子牛の出生率が上昇したこと
などから、2002年6月30日現在で前年比4.9%増の1,111万5千頭となり、1983年以
降の最高を記録した。

  また、2002年の牛肉生産量(枝肉換算ベース。以下同じ)は、前年比20.6%増の41
万6千トンと大幅に増加した。ウルグアイ牛肉産業は、牛肉生産量の約6割を輸出に
向ける輸出依存型の構造となっている。同国では2001年4月、西部のソリアノ県で口
蹄疫の発生が確認されたことから、EU、米国、カナダ、イスラエルなどの主要な牛
肉(冷蔵・冷凍肉)輸出市場を失った。このため、2001年の牛肉輸出量(冷蔵・冷凍
肉および加工肉、枝肉換算ベース。以下同じ)は、前年比37.9%減の16万9千トンと
激減し、同年の牛肉生産量は、21.4%減の34万5千トンと大幅に減少した。その後、
EUが、2001年11月1日以降にと畜処理された骨なし熟成肉の輸入を解禁したほか、
イスラエル、アルジェア、エジプト、ロシア、チリなども条件付きで輸入停止措置を
解除した。こうした輸出市場の再開などにより、2002年の牛肉生産量は2000年を5.2
%下回る水準まで回復した。なお、米国は現在も停止中であるものの、カナダは2002
年末に条件付きで解禁している。


2002年の牛肉輸出量は前年比52.7%増
 
 ウルグアイ国立食肉院(INAC)の統計によると、2002年の牛肉輸出量は、前年
比52.7%増の25万8千トンとなった。これは、過去最高の輸出量を記録した2000年を
5.1%下回る水準である。主要な輸出相手先を見ると、EUが5万6千トン(シェア22
%)、南米南部共同市場(メルコスル)が5万トン(同19%)、イスラエルが4万1
千トン(同16%)、アルジェアが3万8千トン(同15%)、ロシアが1万9千トン(
同7%)、北米自由貿易協定(NAFTA)地域が1万4千トン(同5%)となった。
NAFTA地域向けは、2000年に全体の37%を占めていたが、2002年には口蹄疫発生
による輸入停止措置が継続されたことから、代替として、アルジェリア、ロシアなど
の購買力の低い市場への輸出が増加した。
 
  一方、2002年の国内消費量は、前年比13.1%減の15万2千トンとなった。この要因
としては、ウルグアイが2002年6月に変動相場制へ移行した影響などが挙げられる。
同国の食肉処理加工業者は、主力輸出産品である肉牛を一般的にドル建てで購入する
が、変動相場制への移行に伴うペソの切り下げにより、ペソ換算で牛肉価格が上昇し、
これが国内の牛肉価格の上昇につながったものとみられる。


2003年の牛肉生産量も前年を上回る見込み

  2003年の牛肉需給見通しについて、生産量は前年比7.2%増の44万6千トンと見込
まれている。この背景には、輸出量が10.9%増の28万6千トンと見込まれること、経
済の緩やかな回復に伴う国内消費量の増加が見込まれることがある。このように輸出
量の増加は期待できるが、通貨安を背景としたアルゼンチンやブラジルの価格競争力
の向上、購買力の低い市場への輸出の増加傾向などから、輸出額の上昇はあまり期待
できない。しかし、少なくとも2002年と同水準の輸出額が維持されるか、また、米国
がウルグアイ産牛肉輸入を再開すれば、やや持ち直すものとみられる。
【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 2月26日発】 


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