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米農務省、消費者向け食品安全性確保の小冊子を公表


生産、流通段階に続く、消費段階での小冊子(ブックレット) 

  米農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は11月17日、食肉、家きん肉、鶏卵などの製
品において、「食品安全と食品安全保障:消費者は何を知っておくべきか(Food 
Safety and Food Security: What Consumers Need to Know)」と題する消費者
向けの小冊子(ブックレット)を公表した。米国は同時多発テロ以降、食品の安全性
確保を国土安全保障の一環として取り組んできたところであり、既に生産段階および
流通段階におけるガイドラインを FSISが公表している。今回のブックレットでは、
生産・流通段階での取り組みを経て生産された食品の消費者段階における安全性の確
保やテロ等の緊急時に留意すべき事項について整理・解説されている。なお、このブ
ックレットは、英語版とスペイン語版で配布されることとなっており、近年増加する
ヒスパニック系移民(米国の総人口の12.5%を占め、アフリカ系移民を上回っている
(2000年センサス))への啓もう普及も視野に入れた形となっている。ベネマン農務
長官は会見で、「これまで国内の食品の安全性確保に全力を尽くしてきた。このブッ
クレットは、消費者が食品の安全性を確保する上で重要かつ有益な情報を提供するこ
とになる」と述べた。


テロなどの緊急時を重視した内容

  このブックレットでは、食品の安全性および食品の安全保障に対するFSISの役割が
解説される一方で、テロなどによる緊急時の対応に主眼が置かれた内容となっている。
概要は次のとおり。

@ 製品の自主回収(リコール)に関する情報の収集と対応:
    FSISは各種メディアを通じリコールに関するプレスリリース(回収理由、製品製
    造番号、製造者名、流通の状況、健康への危険度、FSISおよびリコール関係企業
    の連絡先)を行う。消費者がこれらの情報に基づき家庭で当該商品が発見された
    場合、購入先へ返却すること。当該商品により病気になった場合医者にその旨を
    連絡すること。

A 緊急時の食料備蓄:
    緊急時に対応するための備蓄食料(保存食品(ドライフード、缶詰食品など)と
    一人当たり3日間分の飲料水(3ガロン(約11リットル)以上))を確保し適切
    に管理すること

B 緊急時の食品の保存限度

(ア)停電により冷凍庫が止まった場合の保存限度は冷凍庫を開けなければ2日間

 (イ) 同様に冷蔵庫が止まった場合の冷蔵品の保存限度(通常4時間が限度。食肉、
      魚、卵、食べ残した食品は摂氏4度以上で2時間以上経過したものは廃棄)
      
(ウ)温度計の常備と温度計を用いた適切な管理(冷蔵庫内摂氏4度以下、冷凍庫内
      摂氏マイナス18度以下)
      
C 不審な食品を発見した場合の報告:

(ア) 購入時は、開封された形跡の有無と包装が破れていないかを確認するとともに
      陳列棚の他の同商品と比べて違いがないか十分に確認する。

(イ) 不審な商品や異物などの混入が認められる商品を発見した場合、速やかに近く
      の保健所や行政機関などに連絡するかUSDAの緊急連絡センターに通報する。

(ウ) それらの商品は証拠として、密封し「危険」と表示した上で冷凍保管する。

(エ) それらの商品に関連する情報(購入日、購入先など)を整理する。



FSIS、食品の検査態勢強化のための検査官の配置を完了

  FSISは、国境地帯や港湾地域などにおける検疫を強化するための新たな18の獣医
官ポストの配置と輸入品サーベイランス強化のための20の検疫官ポストを配置した
ことを合わせて発表した。

 

【ワシントン駐在員 道免 昭仁 11月19日発】

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