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米国内で初のBSE発生(その10)


と畜前の生体検査におけるBSE検査のサンプリング方法などを発表

  米国農務省食品安全局(USDA/ FSIS)は5月20および27日、3月15日に発表され6月1日から開
始された歩行困難牛などのリスクの高い牛を中心とした20万頭を超えるBSEサーベイランスの実
施についての指示文書を発表した。今回の発表ではテキサス州の食肉処理場で中枢神経系症状が
疑われる牛がBSE検査を行わずにレンダリング処理されたことなども踏まえ、中枢神経系症状な
どを疑う牛が発見された場合、誰がどのようにサンプリングを行うかなどについて整理している。


中枢神経系症状などが疑われるすべての牛が対象

  FSISは、米国でのBSE発生後、動植物検査局(APHIS)とBSEサーベイランスについて協力して
検討してきたとし、今回拡充されたサーベイランスについてもそれぞれの役割を明確にし実施し
ていくものとしている。概要は次の通り。

・FSISは、食肉処理施設(連邦政府検査承認施設)におけるBSE検査のためのと畜前の生体検査
  を実施する。APHISは、主として連邦政府が検査する施設以外の施設(農家、レンダリング施
  設など)における検査を実施する。

・中枢神経系症状を呈している牛、歩行困難牛、そのほかEUでのデータに基づきBSE関連症状
  を示していると考えられる高いリスクを持つ牛などが今回拡充されたサーベイランスの対象と
  なる牛である。これらすべての牛は、BSE検査のための脳のサンプリングが行われる。ただし、
  400ポンド(約180キログラム)以下あるいは子牛肉(ヴィール)に供するための子牛であって
  中枢神経系症状を呈していないものはサンプリングの対象外とする。
  
・食肉処理施設におけると畜前生体検査は、BSEサーベイランス用の特別な訓練を受けたFSIS公
  衆衛生獣医師(FSIS/PHV)が行う。APHISの技術者が行う場合、FSIS/PHVの直接の監視下で
  行うこと。

・FSIS/PHVが当該牛を「廃棄処分」であるとしてBSEサーベイランスのサンプリングに供すると
  した場合、それらの牛についてのサンプリングに至った経緯などに関する書類を作成すること。
  併せて当該牛の所有者などに関する記録を取ること。これは、当該牛がBSEであった場合にト
  レースバックを円滑に行うためのものである。また、サンプリングされる牛には、「US Condemned」
 (廃棄処分)としたタグを取付けること。
  
・FSIS/PHVあるいはAPHISの技術者はFSIS/PHV監督官の監視下で脳のサンプリングを実施するこ
  と。
  
・サンプリング対象の牛は、衛生規則に基づき処理すること。規則に基づきと畜し、その牛から
  頭蓋を速やかに除去すること。脳のサンプリングは、非食用を処理するエリアで速やかに採材
  し、食用と交差しないようにすること。
  
・採材されたサンプルは、特殊容器に収め、冷蔵状態で保存すること。サンプルは、アイオワ州
  エイムズにあるAPHISの連邦獣医局検査施設(NVSL)あるいは今回APHISにより承認されたBSE
  検査施設に送り、検査を行うこと。
  
・AHIS/NVSLは、FSIS/PHV が行ったと畜前生体検査の記録などを含めたBSEサーベイランス結果
  について記録・報告を行うこと。
  

APHIS、NVSL以外のBSE検査施設として7カ所を承認済

  APHISは、NVSLと合わせBSEサーベイランスのための検査施設して、カリフォルニア、コロラド
、テキサス、ウイスコンシン、ワシントン、ジョージア、ニューヨーク各州にある州立大学ある
いは州の獣医検査施設7カ所承認している。これらの検査施設には、割り当てられた食肉処理施
設(州単位)からBSE検査用サンプルが送られてくることとなっている。


【ワシントン駐在員 道免 昭仁 平成16年6月2日発】

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