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WTO会合関連のアセアン諸国の対応


LDC諸国への開発パッケージ提示

 昨年12月に香港で開催されたWTO閣僚会議では本ラウンドの大きなテーマの一つである途上国、特に
LDC(後発開発途上国)諸国を中心に、これらの国々に対し、どう要望に答えるかの議論がなされてお
り、香港会議では開発パッケージの提示など、この分野での一定の進展が見られたとされている。

 現在、アセアン諸国におけるWTO加盟状況としては、従来未加盟であった3カ国のうちカンボジアが
2004年10月13日付けで正式加盟したが、ベトナムおよびラオスは依然申請手続き中である。したがってW
TO加盟国のうちLDCに該当する国はミャンマー、カンボジアの2国で、非加盟LDCとしてはラオス
が挙げられる。


既加盟国の反応

 香港閣僚宣言などを受けた各国の反応は次のとおり。

○LDC(カンボジア、ミャンマー)

 カンボジアでは輸出のおよそ80%が主に米国向けなどの衣料品で占められ、人口の80%程度を稲作農家
が占めると言われている。フン・セン首相は「国際的・地域的経済統合によって利益を享受できるかどう
かは、カンボジア自身が輸出競争力強化の努力を達成できるかどうかに懸かっている」とし、さらなる自
助努力の必要性を表明した。LDC諸国への開発パッケージ提示に関しては、会合に出席した商務省担当
者によると「途上国にとって歴史的成功である」として特に貿易に関する先進国からの技術協力に期待感
を表明したものの、主要輸出品である衣料品を取り巻く情勢については直接的にこれ以上の改善は期待で
きないとしている。なお主要輸出農産物である米については、国内精米所の未整備などから現在、その多
くが未精米のまま近隣国へ輸出されていることから、農村開発銀行による精米工場への融資制度により精
米機能の向上を図り輸出競争力向上につなげるとされている。

 ミャンマーはGATT時からの加盟国で、95年1月1日付けでWTOに移行加盟しており、主な輸出農
産品は木材と、近年は各種インフラの整ったヤンゴン周辺での養殖水産物(エビなど)に力を入れている。
香港会議に対する国内の反応はわずかで、むしろクアラルンプールで開催されたアセアンプラス3会議
(アセアン域内の動向)に注目が集まっている。同国商務相のコメントによると、「ミャンマーはWTO
のプログラムによる農業国内生産振興策および輸出補助の削減を支持する」としている。

○その他

 タイはG20およびケアンズグループの一員として、「本会合では少なくとも輸出補助金の撤廃期限が明
示されたことが成果である」とのコメントが副首相兼商務相のソムキッド氏によって表明された。

 途上国に対する特別扱いに関心が高いG33の調停役であるインドネシアは、会議に先立って貿易相が途
上国向け特定品目(SP:米、コーン、大豆、砂糖)の指定要望を表明していたほか、インドネシア農民
連合(HKTI)は2013年までの輸出補助金撤廃に関する合意を評価するとし、これによる自国産農産品の
国際競争力向上に期待感を表明した。

 フィリピンはインドネシア同様、途上国で構成されるG20、G33および農産物輸出国で構成されるケア
ンズグループに属し、同国農務長官は香港会議を「90%の達成率で成功」と評した。また同農務次官は
「LDC諸国への開発に関する提案はフィリピンと競合する品目が少なく、脅威ではない。残された課題
は特定品目(SP)の選定のみ」との旨を表明している。


加盟準備中の各国の状況
 
 ベトナムおよびラオスはオブザーバーとして香港会議に出席。ベトナムはWTO加盟に向けて作業部会
を積み重ね、昨年9月15日に第10回会合を開催、各国との2国間協議を重ねているが米国をはじめ数カ国
との協議が未了。現在、関税法、企業法、投資法など関連国内法整備を進めている。 同国貿易省次官は
この席で、加盟予定時期を2006年6月ごろとほのめかしたものの、具体的な予定の明示は(ベトナム政府
にとって)重圧となるためできないと表明。

 ラオスは98年2月にWTO加盟のための作業部会を結成、第1回会合を2004年10月28日開催しており、
グローサー議長に「加盟に先立って、新規加盟国には要求されるインフラ整備など到達すべき課題が多く
存在する」との指摘を受けている。

【シンガポール駐在員 木田 秀一郎 平成18年1月12日発】



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