ALIC/WEEKLY


WTO第6回閣僚会合の評価(米国、カナダ)


最終的な成功には農業分野の市場アクセスがかなめ

 ポートマン米国通商代表は12月19日、12月13日から同月18日まで香港で開催されたWTO第6回閣僚会
議について、ドーハ開発計画は世界的な貿易システムを活性化するのみならず世界経済に刺激を与え実際
に数百万人を貧困から救済する千載一遇の機会であるとし、欧州連合が輸出補助金の撤廃期限を明示する
ことに合意したなど同会議では一定の前進が得られたものの、最終的な成否のかなめとなる農業分野での
市場アクセスの拡大のために世界的なより一層の努力が必要であるとの見方を示した。

 これまでの数週間、自分は市場アクセスのうち特に農業分野について議論するとともに、今次ラウンド
において成功を収めるためのその重要性について議論してきた。そして今、その意を新たにしている。世
界中の同僚と今週を過ごしてきた中で、非農業分野で協調し得るよう、農業分野において関税が引き下げ
られるという新たな市場アクセス機会の存在を国々に知らしめることのわれわれにとっての絶対的な必要
性について繰り返し聞いてきた。工業製品、サービスなどの非農業分野でも進展を見ることが重要である
ことは事実であるが、このラウンドの成功をともに見るためには、農業における行き詰まりを解かなけれ
ばならない。

 米国は政治的に困難な決断をする用意をして1週間前に香港にやってきた。われわれは自らの野心を十
分に示してきたし、今後もそうするであろう。われわれは市場開放や補助金の削減における真の進展を得
るために包括的な努力を継続していく。

 解決策すらない中、われわれは今週農業分野の市場アクセスに期待をし、ついに輸出補助金を2013年ま
でに撤廃するとともに、これらの補助金の多くをそれまでに適切になくしていくことに合意した。これは
特筆に値する。米国を含め多くの国が期限を2010年とすることを希望したが、私は新年に入ってからもこ
の問題について議論を継続するよりも、明確な予見し得る期限を得たことのほうがより重要であったと考
える。欧州連合が最終的に期限を定めることを進んで行ったことに敬意を表したい。

 商業の自由な流れを通じた成長を促進するようルールに準拠した多国間貿易システムをより良い形にし
ていくとの意見の一致を持ち続けることがWTOのあるべき姿と考える。

 ドーハラウンドを終了させるために必要であるさらなる努力と政治的決意の二つのことを来年末までに
終わらせたい。今週少なくとも困難を成し遂げ得ることを証明したので、この仕事を完了させるために必
要な政治的決意を奮い起こすとともに、2006年の期限を守るために努力を倍増する必要がある。



カナダにとって閣僚宣言は目的を達成する可能性を与えるもの

 ピーターソンカナダ国際貿易大臣ならびにミッチェル農業食料大臣は12月18日、閣僚宣言はカナダに重
要な分野において目的を達成する可能性を与えるものである。多くのカナダの提案や考えが特に非農産品
市場アクセスおよび農業国内支持について閣僚宣言には反映されている。また、重要品目および国家貿易
企業の取り扱いについてもカナダの目標に合致するものとなっていることを歓迎する。香港閣僚会議では、
非農産品市場アクセス、サービス、農業輸出補助金、後発開発途上国(LDC)無税無枠について進展が
あったものの、多くのやるべきことが残されている。われわれは2006年末までに交渉を終結させるよう、
他のWTO加盟国や国内関係者と積極的に作業を進めていくとの声明を公表した。


【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成18年1月11日発】



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