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米国農務省、2007年農業法に向けた重点課題を公表


 米国農務省(USDA)は9月13日、「将来の米国農業の発展に向けた基盤強化」と題した米国農業政策に
関する分析資料を公表した。USDAは、次期農業法の作成段階の透明性確保、また、同法に米国民の意見を
最大限に反映するため、これまで四回にわたり、特定の課題に対し同省のエコノミストが分析した資料を公表
していた。今回公表された資料は、一連の分析資料の五回目かつ最終版となるものであり、今後、同法改正に
向けた米国民による議論の際、活用されることとなる。


農業法改正に向けたこれまでの経緯

 USDAは本年3月末、同省が2005年に全米52カ所で開催した2007年農業法に関するフォーラムや、ウェブ
サイトなどを通じて農業関係者から寄せられた4,000件以上の意見を41の課題に集約した意見概要を公表した。
また、ジョハンズ米農務長官の指示により、これまで同省のエコノミストは、その意見概要の中から重要課題
に対するさらなる分析を進めていた。

 USDAは5月8日、農業生産者が現在直面しているリスク、政府および民間部門による現行プログラムの
有効性、同プログラムの代案などに関する「リスク管理分析資料」を公表した。また、6月8日、7月7日に
は、それぞれ「環境保全プログラム」、「農村開発プログラム」に関する包括的な分析資料を公表した。同農
務長官は、農村開発プログラムについては、米国民の関心の高さや全国的に見て評価されており、実質的な成
果を上げているものの、常に変化を遂げる米国の農村経済に対応すべく、現行プログラムの再検討の必要性を
強調した。

 さらに8月8日には、四回目の分析資料として、「再生可能エネルギーおよびエネルギー効率プログラム」
など農用地および森林地域などに至るまで、農業が包括するすべてのエネルギー施策に関する分析資料を公表
した。同農務長官は、農業法フォーラムにおいて、生産者から、新たな収入源として農産物由来エネルギーの
可能性に関する多くの意見が述べられたことを強調し、新たなエネルギー経済の構築のため、米国の農業者な
どに対する支援を確約した。
 

米国農業の将来的な発展のため次世代農業者の育成が重要

 今回公表された五回目の分析資料では、@国際貿易、A調査・研究、B害虫・疾病からの農業の保護、C次
世代の農業者の育成−など、今後の米国農業の発展に重大な影響を及ぼすことが予測される要因に関する包括
的な分析結果が述べられている。

 同農務長官は今回の公表に際し、「次期農業法を議論するに当たっては、米国農業の将来的な発展に向けた
最善策を考慮することが重要であり、同資料は、米国農業の競争力の強化、次世代の農業者への農場の移譲促
進など、今後さらに競争が加速化する国内外の市場競争に、特に、次世代の農業者たちが対応するための目標
および課題に重点を置いたものである」と述べた。

 USDAでは、これらの分析資料は、特定の農業政策を推奨するものではなく、米国農業政策の現状に対し
詳細な分析を施したものであり、次期農業法の立案に向けた今後の米国民の議論における課題および選択肢を
示したものであるとしている。


【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成18年9月20日発】



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