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2006年の家きん飼養羽数は前年比2.4%減 ベトナム農業農村開発省(MARD)はこのほど、2001年から2006年までの家きんの飼養状況を公表 した。これによると、2006年における家きんの飼養羽数は前年比2.4%減の2億1,400万羽となり、内訳 はブロイラーや地鶏などのニワトリが1億5,200万羽、アヒルなどそのほかの家きんが6,200万羽となっ ている。同国において、ニワトリの飼養は全国的に見られるが、飼養羽数が多い地域として首都ハノイ 近郊の紅河デルタ地区が約4,200万羽、中国と隣接する東北地区が約3,300万羽となっており、南北に細 長い国土のうち北部4地区における飼養羽数が全体の約7割を占めている。南部4地区では、メコン川 下流のメコンデルタ地区で約1,500万羽のニワトリが飼養されている。アヒルなどについては、北部の紅 河デルタ地区が約1,700万羽、南部のメコンデルタ地区が約2,100万羽となり、この両地域で全体の約6 割を飼養している。 過去5年間における家きんの飼養羽数の推移をみると、2003年12月下旬の鳥インフルエンザ(AI) 発生前は対前年伸び率が約9%程度で推移しており、飼養羽数が最も多かったのは2003年の2億5,400万 羽となっている。AIの影響により、2004年における家きんの飼養羽数は前年比14%減の2億1,800万羽 となり、その後も減少傾向が続いている。 大手インテグレーターのニワトリ飼養羽数は全体の約1割 ニワトリの農家規模別飼養羽数は、小規模農家による飼養羽数が9,300万羽となっており、飼養羽数全 体の約6割を占めている。主に庭先養鶏が主流であり、平均飼養羽数は30羽前後となっている。飼養羽 数が200〜500羽の中規模農家は4,200万羽で約3割、そのほかは大手インテグレーターで、飼養羽数は 1,700万羽で全体の約1割にすぎない。主なインテグレーターは、タイ資本のチャロン・ポカパン(Charoen Pokphand)、インドネシア資本のジャプファ(Japfa)、アメリカ資本のカーギル(Cargill)、フラン ス資本のプロコンコ(Proconco)などが挙げられ、飼養羽数は1農場当たり約2千〜3万羽となってい る。 家きんの疾病については、AIのほかにニューカッスル病やガンボロ病などの発生がみられ、主に小 規模農家が影響を受けたとしている。AIについては、2003年以降4回にわたり発生しており、死亡あ るいは廃棄した家きんが合計で5,100万羽以上、損失額は総額10兆ドン(約7百億円:1,000ドン=7円) としている。 目標飼養羽数の変更はなし 同国で2001年に策定された2001−10年社会経済開発戦略のもと、中期計画として策定された2006−10 年社会経済開発計画では、2006年における家きんの目標飼養羽数は2億2,850万羽であった。2010年の目 標飼養羽数は2億8,180万羽に設定されている。同国政府は、地方省市に対し飼養羽数の増加を求めてお り、2006年時点では目標飼養羽数を約6%下回っているものの、2010年の目標数値の変更は現時点では なされていない。 ◎AI感染地域が拡大 ベトナムでは、2006年12月中旬に同年8月以来となるAIが発生し、その後いったんは沈静化してい たが、2007年2月下旬に再び南部メコンデルタ地域でアヒルへの感染が確認されている。その後、AI 感染地域は拡大を続けており、同国農業農村開発省によれば、6月13日時点で全国59省5直轄市のうち 16省市で感染が確認されたとしている。同国政府は、ワクチン接種や家きんの移動制限などを実施して いるが、一部の地域ではワクチン接種が計画通りに実施されなかったため被害が拡大したとの指摘もな されている。なお、同国保健省は、6月16日現在でヒトへのAI感染事例が5件確認され、うち1人は 死亡したとしている。同国でのAI感染によるヒトの死亡事例は2005年11月以来である。 【シンガポール駐在員 林 義隆 平成19年6月21日発】
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