今回放出される脱脂粉乳は、2008年農業法により改正された乳製品価格支持事業を通じて商品金融公社(CCC)が乳業者から購入したものである。CCCは、乳業者からの要請に応じて法定価格で無制限にこれらの乳製品を買い入れることが義務付けられている。
(畜産の情報:平成20年7月号参照
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2008/jul/gravure2.htm)
昨年秋口以降の乳製品価格の急落により、脱脂粉乳は10月7日からCCCによる価格支持買入れが開始され、現在もこれが継続中である。開始から本年3月25日までの累計買入れ数量は、奇しくも今回のUSDAの放出決定数量をわずかに上回る2億364万ポンド(約9万2,371トン。キャンセル分を除く)であるが、今後も買入数量は増加していく見込みである。これに対し、年明けの1月7日に開始されたバターの価格支持買入れは、2月24日を最後にこの1カ月間は実施されておらず、総買入数量も464万ポンド(約2,104トン)にとどまっている。また、年明けには時間の問題と言われていたチーズの買入れは、結局、実施されないまま現在に至っている。なお、CCCによる今回の乳製品買入れは全てカリフォルニア州で行われており、購入された脱脂粉乳の約8割(バターについては全量)は同州の巨大酪農協であるカリフォルニア・デイリーにより製造されたものである。
年による変動は大きいが、一般に、米国の生乳価格は、2月から3月にかけて底を迎え、夏から秋口に向けて上昇傾向をたどる傾向が見られる。また、高騰していた乳牛用飼料価格もやや下落傾向に転じるなど、依然として苦しい状況とは言え、多額の負債を抱える一部の酪農家を除けば最悪の時期は脱しつつある。今回の政府の決定により、価格の下押し圧力となっていたCCCの乳製品在庫の処分に一定の道筋がついたことで、乳製品価格やこれにより算定される生産者乳価がどのように変動していくのか、今後の動きが注目される。