海外駐在員レポート

米国の2008年農業法と酪農乳業への影響

ワシントン駐在員事務所 郷 達也、唐澤 哲也


1.はじめに

 2008年5月22日、米国の新農業法(2008年食料・保全・エネルギー法)は、大統領の拒否権発動を乗り越えて主要部分が成立した。両院で可決された法案が大統領に送付された際に印刷ミスにより貿易関連の規定が抜け落ち、完全な農業法の成立が6月にずれ込んだことは、うよ曲折のあった検討過程を象徴する出来事のように思われる。とはいえ、シェーファー農務長官は22日の再可決をもって農業法の大半が成立したと認め、これからはその迅速な執行に全力を挙げると明言するなど、ワシントンは既に農業法の実施モードに入りつつある。

 米国の農業界が穀物価格の高騰による空前の好景気に沸く一方、長引くイラク戦争を背景とした財政状況の悪化やWTOドーハラウンド交渉の進展など環境が変化する中で、今後5年間の農業政策の枠組みを決める新農業法の議論は早い段階から内外の注目を集めていた。また、2007年末のエネルギー法改正をきっかけとした穀物価格の一段高が食料品価格の上昇に波及し、農業政策に対する国民の関心が高まる中で法案審議が行われたことも今回の特徴と言えるだろう。

 本稿では、米国の新農業法の成立までの経緯と全体の概要について説明するとともに、特に酪農乳業政策に焦点を当てて、国際化や飼料価格の高騰に対応すべく米国議会が定めた今後5年間の政策の枠組みについて報告する。


2.新農業法成立までの経過

2007年から議論が本格化

 米国の農業政策の枠組みを決める包括農業法は、おおむね5年に1度改正される。これまでの包括農業法は2002年農業安定・地方活性化法(P.L.107-171)であり、これにより、(1)作物プログラム(基幹農産品の価格・収入支持)、(2)農業金融、(3)農業環境保全、(4)調査研究開発、(5)地域振興、(6)国内外の食料支援などの政策が定められていた。

 今回の農業法の議論は、中間選挙が終了して民主党主導の第110回議会がスタートし、米国農務省(USDA)が新農業法に関する政府提案を公表した2007年初めから活発化した。政府の提案は、現行の作物プログラムを改革する一方で、保全事業の拡充や再生可能エネルギーの研究調査の強化などを含む、「改革志向で財政責任を果たし、衡平で、予見可能で、国際紛争に備える(ジョハンズ前農務長官)」ものであり、その公表時には、議会や関係者から一定の評価がなされていた。

 その後、議論の中心は議会に移り、2007年7月27日には下院で2007年下院農業法案(H.R.2419)が可決された。この法案は、現行農業法の根幹である作物プログラムの枠組みを維持しつつ、政府補助金の受給要件の厳格化などにより財政支出の拡大を防ぐことがポイントであった(注1)。これに対し、上院では選出地域の違いによる関係議員間の利害対立や財政面での制約から農業委員会の動きが遅れ、上院農業法案(H.R.2419修正法案)の可決は年末の2007年12月14日にずれ込んだ。この法案は、これまで自然災害が生じるたびに別枠で措置されていた災害被害対策を農業法に組み込むとともに、エタノール混合燃料の製造業者に対する租税減免措置の一部変更や関税の延長などの税制措置も含むものであった。

大統領の拒否権発動と議会の再可決

 2008年の年明けからは、上下両院がそれぞれ可決していた農業法案を一本化するため、両院協議会の開催を前提とした舞台裏の交渉が活発化した。しかし、農業法本体の論争に加え、農業法の予算規模とその充当財源の確保の方法や農業関係税制をめぐる委員会間の所管争いなどにより交渉は難航し、正式な両院協議会の開催は4月10日までずれ込んだ。さらに、両院協議会での協議開始後も、大統領の拒否権発動を示唆しつつ内容の修正を求める政府に対し主要議員が妥協の可能性を探って調整を繰り返したことから、両院協議会での合意にも時間を要した。最終的に大統領の拒否権発動やむなしと判断した議会が、包括農業法案を本会議で可決したのは、両院協議会の正式設置から1カ月を経過した5月中旬となった(下院が5月14日、上院が15日)。

 この包括農業法案は、大統領の拒否権発動を覆すために必要な2/3の賛成票を上回る大差で可決されたため(下院は318対106、上院は81対15)、大統領が拒否権を発動しても議会の再可決で法律が成立することは確定的であった。しかし、大統領は「不適切な法律には反対する」という原則を重視して5月21日に拒否権を行使し、最後まで予算増額などに抵抗した。この際に、法案の正本から貿易関連の規定が欠落していることが判明したが、議会はこれを欠いたままの農業法の可決を急ぎ、21日に下院、22日に上院での再可決を経て、貿易関連条項を除いて新農業法(P.L.110-234)が成立した。

 その後、貿易の章を含む完全版農業法は、新たにH.R.6124として上下両院で可決された後大統領に送られ、再び行使された拒否権を直ちに覆す形で上下両院で再可決されることにより6月18日に成立している。

 なお、一連の審議の過程で、議会は2007年12月19日に可決した2008年包括歳出法の付帯条項として2002年農業法を2008年3月15日まで延長したのを皮切りに、2008年3月12日、同4月16日、同4月24日、同5月1日、同5月15日と都合6度にわたってその期限延長が行われた(注2)。


3.新農業法の概要

ベースラインを約100億ドル引き上げ

 上下両院が再可決した新農業法(2008年食料・保全・エネルギー法)は、現行の農業関係事業の実施期間を2012年度まで延長するとともに、ベースライン(議会予算局が算定する10年間の予算執行見通し額)を約100億ドル引き上げることを大枠としている。下院農業委員会が公表した新農業法案の概要によると、低所得者向け食品供給補助など栄養事業の拡充に約104億ドルを増額し、農地保全や畜産環境保全対策など保全事業の拡充に約79億ドルを増額するほか、野菜・果実など園芸作物向けに新たに産地形成対策や疾病防除対策が措置されたとしている。一方、作物保険の受託事業者に対する運営費補助や、作物プログラム向け補助、調査研究事業費などの予算額は削減されている。

食肉の原産地表示の実施

 酪農部門を除く畜産関係のうち、最も注目されるのは、2002年農業法で制定されながら先送りされてきた主要食肉の原産地表示が、鶏肉などを対象に追加した上で2008年9月30日から実施されることである(注3)。具体的な表示の方法は、家畜の生産・肥育・と畜の過程のすべてを米国内で行った「米国産」、素畜を外国から輸入して米国内で肥育・と畜した場合などを対象とする「複数国産(例:メキシコおよび米国産)」、肉畜を外国から輸入して米国内でと畜したものに適用される「外国肥育米国と畜(例:カナダ産米国加工)」、輸入品に適用される「外国産」の4分類に分けられており、これとは別にひき肉の表示も行われる(注4)。

食肉業者の家畜保有禁止規定は盛り込まれず

 また、米国農務省穀物検査・家畜食肉流通局(USDA/GIPSA)による食肉処理業者の査察の強化とその業務報告の議会提出の義務づけや、家畜の長期出荷契約における裁判回避規定の強要の禁止が新たに定められた。一方、中西部の有力議員が強く主張して上院農業法案に盛り込まれた食肉処理業者の家畜保有禁止規定については、2002年農業法の際と同様に、両院協議会での賛同が得られず最終的には削除された。さらに、新たに農業法上の項目として「畜産」の章を設けるほか、食肉由来の食中毒防止の観点から、自主検査により汚染食肉の出荷を認識した工場による農務長官への即時通報の義務化なども盛り込まれている。

作物プログラムは大枠を維持

 作物プログラムについては、価格支持融資(マーケティングローン)、価格変動対応支払い、直接固定支払いからなる枠組みを維持した上で、(1)小麦や大豆などの支持価格(ローンレートおよび目標価格)の引き上げ、(2)年収250万ドル以下だった補助金受給資格を年収75万ドル以下に厳格化(3人者規則(注5)を廃止する一方で、夫婦それぞれの申請を認める。)、(3)2009年度から価格変動対応支払いに代わり新たに単位面積当たり収入変動対応支払い(ACRE)の選択を可能とするオプションを新設−などの変更を行っている。

環境保全は休耕奨励から改善対策支援へ

 環境保全については、(1)土壌保全留保事業(CRP)の契約面積上限を現行の3,920万エーカーから3,200万エーカーに引き下げ(2010年度から)、(2)環境改善奨励計画(EQIP)の予算額を34億ドル増額し、一方で1事業当たり補助上限を引き下げ、(3)土壌保全奨励事業(CSP)の予算額を11億ドル増額して補助対象面積を拡大するとともに、森林を事業対象に追加−などの変更を行っている。

先進的バイオ燃料精製施設等への補助新設

 エネルギー関係については、全体で約10億ドルの予算増額を行い、商業的規模の先進的バイオ燃料精製施設の建設・改築を行う事業者への借入保証や、農場段階で再生可能燃料生産利用設備を導入する場合の補助・融資などを措置するとしている。また、税制関連では、(1)2008年末で失効する予定だった54セント/ガロンの輸入エタノール関税を2010年12月31日まで2年延長、(2)エタノール混合燃料の製造業者に対する51セント/ガロンの租税減免額を2009年1月1日からから45セント/ガロンに減額、(3)農業廃棄物など非食用資源を原料とするエタノール製造業者に対し、新たに2012年までの租税減免措置(101セント/ガロン)を新設−などが行われることになる。

 このほか、前述の恒久的災害被害対策として、2011年度末までに関税を財源とする38億ドルの基金を造成し、農務長官が指定する被災地域の作物生産被害対策や、干ばつ観測に基づく著しい干ばつ地域の畜産農家補助などに利用することが盛り込まれている。


4.新農業法による酪農関係政策の変更

 今回の農業法の審議過程において、酪農政策が表舞台で取り上げられることはほとんどなかった。これは、生乳マーケティングオーダーの変更と北東部酪農協定の創設をめぐり地域ごとのあつれきが顕在化した1996年農業法や、北東部酪農協定の復活をめぐる議論が地域間の利害対立を再燃させ、全国を対象とする新たな措置(生乳所得損失補償契約事業)の導入につながった2002年農業法の際と大きく異なる点である。しかし、飼料価格の高騰に対応する政策変更が最終段階で急きょ盛り込まれるなど、舞台裏で繰り広げられた主要議員への強い働きかけにより、2008年農業法には現時点での酪農関係者の関心事項の多くが反映される結果となった。

 米国の酪農政策は、(1)主要乳製品の価格下落時に政府がこれを買い入れることにより間接的に加工原料乳価格の下支えを行う価格支持制度、(2)生乳の販売用途ごとに乳業者の最低支払乳価を毎月定め、用途別支払乳代を地域全体でプールして酪農家に加重平均価格で乳代を支払う連邦生乳マーケティング・オーダー(FMMO)制度、(3)飲用向け生乳価格が目標価格を下回った場合にその差額の一定割合を政府が補てんする生乳所得損失補償契約事業(MILC)の3つを主要な柱としている。また、これ以外にも、乳製品の補助金つき輸出を可能とする乳製品輸出奨励事業(DEIP)や、生産者からの拠出金を原資に牛乳乳製品の消費拡大や研究助成などを行うチェックオフ事業など、法令に基づき実行されている事業は多岐にわたる。以下に、新たな農業法における制度ごとの変更点と、それにより予想される影響を分析する。

(1)加工原料乳価格支持制度

(1) 制度の背景と概要

加工原料乳価格を間接的に支持

 EUやカナダなどと異なり、米国では一部地域を除いて生乳の計画生産は行われていない。このため、乳価が上昇すると米国の生乳生産は容易に増加し、たびたび生産過剰を招いてきた。その最大の要因として多くの関係者から指摘されてきたのが、加工原料乳の価格支持制度である。

 この制度は、政府(商品金融公社:CCC)が脱脂粉乳、バター、チェダーチーズの買入れを通じて、加工原料乳価格を間接的に支持水準以上に維持する仕組みである。1949年農業法で制度が創設された当時、支持価格はパリティ水準(注6)の75〜90%の範囲内とされていたが、1981年農業法によりパリティとのリンクが切り離されて以降は支持価格が徐々に低下しており、98年1月からは9.90ドル/100ポンドに据え置かれている(図1)。一方、乳製品の買入価格は法律には定められておらず、政府が一定の算式に基づいて定めており、在庫状況に応じてバターと脱脂粉乳の買入価格比の変更(ティルト)も認められている(後述)。しかし、CCCは事業者からの乳製品売却の申し込みに必ず応じなければならず、また、買入上限量も定められていないため、需給の緩和時には多くの乳製品が政府在庫として積み上がり、結果として政府は補助金つき輸出や海外支援など国内需給に影響しない形でこれらの乳製品を放出することを余儀なくされてきた。

 また、加工原料乳の価格支持制度はWTO協定上「黄」の補助金に分類され、2005年度にはこの事業だけで約48億ドルと米国のAMS上限値の191億ドルの約1/4を占めるという問題点も指摘されていた(注7)。


図1 加工原料乳支持価格の推移

資料:USDA/AMS

(2) 新たな制度のポイント

乳製品の直接価格支持制度へ変更

 2008年農業法による最大の変更点は、これまでの仕組みを実質的に維持した上で、加工原料乳価格支持制度を乳製品価格支持制度に名称変更し、加工原料乳の支持価格(100ポンドあたり9.90ドル)を廃止して主要乳製品の支持価格を法律で直接定める制度に変更したことにある。

 新たに設定された乳製品1ポンド当たりの支持価格は、脱脂粉乳が0.80ドル、バターが1.05ドル、チェダーチーズ(40ポンドブロック)が1.13ドル、チェダーチーズ(500ポンドバルク)が1.10ドルであり、2002年農業法に基づきUSDA/AMS(農業市場流通局)が定めていた水準と変わっていない。また、USDAが事業者の申し出に応じて乳製品の買入れを無制限に行う仕組みも変更されていない。

 一方、今回の制度変更により乳製品の支持価格が法律に直接規定されたことに伴い、乳製品の在庫バランスを勘案してUSDAが行っていたバターと脱脂粉乳の買入価格比の変更が廃止されることとなった。このため、代替措置として、連続する12カ月間の政府純買入数量が一定水準を超えた場合、翌月の乳製品の買入価格を1ポンド当たり0.05ドルから0.20ドル引き下げることを認める規定が設けられた。具体的な発動水準と引き下げ幅は表1のとおりである。


表1 乳製品の支持価格と基準購入数量による単価調整

資料:両院協議会報告書

(3) 新制度の実施による影響予測

ア 乳製品の買入価格引き下げの可能性

価格調整措置の発動可能性は低い

 近年、国際的な乳製品価格の高騰により、CCCによる乳製品の価格支持買入はほとんど行われていない。しかし、90年代初めのバターに続き、2000年代前半には脱脂粉乳が過剰となり、政府による市場介入が行われるとともに、前述の買入価格比変更(ティルト)が実施されてきた。脱脂粉乳とバターの買入価格は2001年5月末の時点でそれぞれ1ポンド当たり1.0032ドル、0.6549ドルだったが、同年6月と翌年11月の二度にわたるティルトにより、それぞれ同0.80ドル、1.05ドルに変更されている。

 今回の農業法の変更でティルトの仕組みは廃止され、新たに過去12カ月の乳製品買入数量を基準とする買入価格引き下げの枠組みが設けられた。図2は1991年以降のUSDA/AMSの乳製品純買入実績を基に、ティルト廃止後の買入価格引下げ発動の可能性を検証したものである。

 この結果、1991年以降の実績で、政府の買入数量が新たな買入価格引下げ基準を超えていたのは、2002年8月から2003年6月までの11カ月間(脱脂粉乳)だけであることがわかる。基準数量が脱脂粉乳で国内生産量の約6カ月分、バターで国内生産量の約4カ月分に相当する大きな量であることを考えても、今回の「価格調整措置」が発動される可能性は低いものと考えられる。


図2 価格支持事業による乳製品買入実績(12カ月累計)

資料:USDA/ERS. AMS

イ WTOの国内支持約束に与える影響

AMSの削減につながる可能性も

 前述のとおり、加工原料乳価格支持制度はWTO協定上「黄」の補助金に分類され、米国のAMS上限値191億ドルの約1/4に当たる48億ドル(2005年度)を占めている。実際の財政支出額にかかわらず膨大な数値が計上されているのは、AMSの計算が生乳の内外価格差(注8)に米国内の全生乳生産量(2005年度:8,203万7千トン)を乗じて計算される仮想値であるためでる。

 今回の制度変更で価格支持の対象が生乳から特定の乳製品に変更されたことにより、米国政府はAMSの削減を主張することが可能となる。表2は、米国のWTO通報(2007年10月)における2005年度の加工原料乳価格支持制度のAMSと、その時点で新たな制度が適用されていたと仮定した場合のAMS試算値とを比較したものである。

 価格支持制度の対象を生乳から乳製品に転換することにより、47.94億ドルのAMSが26.45億ドルに減少し、21.49億ドルの「節約」が可能となることがわかる。現在交渉中のドーハラウンドの合意時にはAMS上限の引下げは避けられないため、この「節約」が可能となれば米国の交渉ポジションに与える潜在的影響は大きい。しかし、算定方法をこのように変更した場合、飲用向けやフレッシュチーズ向け生乳のAMSがゼロとして計算されることとなるため、改めてFMMO制度による飲用向け生乳の価格支持効果をAMSに算入すべきとの議論が生じる可能性もある。

 今回の制度変更が、実際にAMSの削減につながるかどうかについては、依然として不確定な要素が多い。


表2 価格支持対象の変更によるAMSの削減(2005年度試算)

資料:USDA/NASS、WTO通報。外部参考価格はTEからの試算値。

(2)連邦生乳マーケティング・オーダー(FMMO)制度

(1) 制度の背景と概要

10地域でプール乳価適用

 米国の大半の酪農家は、全国に10カ所ある生乳マーケティングオーダー地域内で生乳を生産している。この地域内で取引される生乳は、乳業者により用途別乳価での精算が義務づけられるとともに、生産者にはこれらの乳代を加重平均したプール乳価で支払いが行われる。また、乳業者が支払う用途別乳価は、直近の乳製品取引価格から算定される最低乳価を下回らないよう連邦政府の規制を受けている。これがFMMO制度の枠組みである。

 


最低取引乳価はコストに連動せず

 FMMOの下での生乳取引区分は、クラス1(飲用向け)、クラス2(アイスクリーム・ヨーグルト向け)、クラス3(チーズ、ホエイ向け)、クラス4(脱脂粉乳・バター向け)の4つに分けられており、それぞれの最低取引乳価が毎月政府から公表されている。この最低取引乳価は、主要乳製品(脱脂粉乳、バター、チーズ、ホエイ)の工場出荷価格から一定の算定式により機械的に算定され、生産コストとは全くリンクしていない。乳業者の支払乳価は、これらの用途別最低乳価を念頭に、種々のプレミアムや取引条件も織り込んだ乳業者と出荷者(酪農家または酪農協)の交渉により決定されている。

 FMMO制度は恒久法(1933年農業調整法および1937年農産物販売協定法)に規定されているため、加工原料乳価格支持制度や生乳所得損失契約事業とは異なり、必ずしも農業法の際にその存廃が議論されるとは限らない。今回の農業法の議論に際しては、従来からこの制度そのものに否定的であった乳業団体が、専門家委員会での長期的検討と契約出荷取引による制度の改善を求めるにとどめたことから、政治的な場では制度の本質的なあり方についての議論には立ち至らなかった。

制度上の問題点

 一方、USDA/AMSが所管する個別のオーダー規則については、その変更手続きに長い時間がかかるため(注9)、公聴会の開催からUSDAが規則案を公表するまでの間に時間的枠組みが設けられていないことなどが制度上の問題点として指摘されており、今回の農業法審議の際の論点となった。

 なお、米国最大の生乳生産量を誇るカリフォルニア州は州法で独自の取引規則を設け、FMMOと同様に用途別乳価での販売とプール乳価での生産者支払いを行っている。

(2) 新農業法による改正のポイント

ア FMMO制度検討委員会の設置

 FMMO制度は恒久的な制度であり、その枠組みの見直しが困難である一方、多くの改善点を抱えていることは関係者の共通認識である。今回の農業法においては、酪農・乳業関係者からなるFMMO制度検討委員会の設置が決定され、FMMO制度とカリフォルニア州など州独自の制度の双方について、現行の生乳価格決定規制の内容を評価して政策変更のための勧告を2年以内に上下両院の農業委員会に報告するよう定められた。

 この委員会は、酪農家4名、乳業者4名、小売業者1名、消費者団体1名、公立大学の代表4名の14名から構成され、検討の視点も、(1)乳製品の内外市場での競争力確保、(2)生乳価格決定方法の透明性の確保、(3)オーダー規則の変更手続きの円滑化など連邦オーダーの単純化−とすることが明示されている。

 なお、この規定は米国の乳業者の団体であるIDFA(国際乳製品協会)の提案を受ける形で盛り込まれたが、某酪農団体関係者は、2010年歳出法の検討過程で検討委員会の開催に必要な予算が停止されればその活動は実質的に停止することになると示唆しており、必ずしも2年後に改革に向けた報告が議会に提出されるかどうかは予断できない。

イ FMMO規則改正手続きの迅速化

 オーダー規則変更手続きに長期間を要する問題に対応するため、今回の農業法では、飲用乳価の地域別プレミアム額の変更などのオーダー規則変更について、農務長官が法案成立後60日以内に規則改正手続きの補助規定を作成することが定められた。具体的には、規則変更のための公聴会開催の申請受付後30日以内に、(1)対処方針を示して公聴会の通知から終了までの全体の時間的枠組み(120日以内)を示すか、(2)提案に対して追加情報を求めるか、(3)これを却下するか−を明らかにするとともに、例えば公聴会後の追加意見の提出期限を60日間とすること、USDAは意見提出期限の終了後60日以内に改正提案に関する決定案を公表することなど、詳細な時間的枠組みが設けられることとなった。

 また、生乳価格に直接影響を与えないオーダー規則の変更については、非公式な規則改正手続きをとることや業界の賦課金を手続きの迅速化に充てることを認めている。さらに、改正の決定後90日以内に同種の公聴会の申請を受けた場合は、同種の案件と見なして公聴会を開催しないことも容認している。

 なお、生乳の地域別プレミアムの変更に関連した公聴会を開催する際には、当該地域の酪農家が負担する月平均の飼料価格と燃料価格を明示するとともに、その変更の可否を判断する際にこれらの価格を考慮するよう農務長官に求める規定が盛り込まれている。

ウ 加工原料乳の事前契約取引を容認 

 FMMO制度による用途別の乳価取引規制が適用されるのは、乳業者と出荷者(酪農家および酪農協)の生乳取引に限定されており、酪農家が酪農協保有の乳製品工場に出荷する加工原料乳はFMMOによる用途別乳価規制の対象となっていない。このため、商系乳業は、系統乳業と同様に酪農家との加工原料乳(クラス2、クラス3、クラス4生乳)の契約出荷取引を認め、FMMOの適用除外による安定的な生乳調達の途を開くよう求めていた。

 今回の農業法では、商系乳業の指摘に対応するため 、2000年度包括歳出法により2004年末まで新規契約が認められていた加工向け生乳の契約出荷取引の容認規定を復活させた。これにより、酪農協以外の乳業者も、2012年9月末まで、酪農家と加工原料乳の新規直接契約取引を締結することが可能となり、この期限までに契約を結べば2015年9月末まで出荷契約取引の継続が可能となった。ただし、乳業者が酪農家や酪農協に契約取引を強要することがないよう、農務長官が査察を行う規定も設けられた。

エ 取引価格の報告間違いの再発防止

 2007年4月、乳業者から報告された脱脂粉乳の取引情報が長期にわたり間違っていたことが判明した(注10)ため、USDAは過去1年間にさかのぼって全出荷工場のデータを見直し、2006年4月29日から2007年4月14日までの取引価格の修正を行った。しかし、これを基に算定されるFMMOのクラス別最低乳価がさかのぼって修正されることはなかったため、結果的に酪農家の手取り乳代が本来あるべき乳代を下回ることとなった。

 このような事態の再発を防止するため、今回の農業法では、発効後90日以内に農務長官が問題発生前と改善後の価格・在庫・取引数量報告の手続きの概要を上下両院の農業委員会に対して報告するとともに、これらの手続きが2006年7月1日から2008年5月22日までの間における連邦オーダー制度の下での最低価格(クラス4乳価)に与えた影響についてもその評価結果を報告するよう努めることとなった。


 


(3)生乳所得損失補償契約(MILC)事業

(1) 制度の背景と概要

目標価格を基準に直接支払い

 生乳所得損失補償契約事業(MILC)は、ボストン地域のクラス1(飲用向け)乳価が目標水準を下回った際に、政府と契約を結んだ酪農家が生乳の出荷量に応じて直接支払いを受け取る仕組みである。

 直接支払いの単価は、クラス1乳価と目標価格(16.94ドル/100ポンド)の差額に34%(2005年9月以前は45%)の補助率を乗じた水準である。ただし、1戸当たりの支払い上限乳量が240万ポンド(1,089トン)に設定されているため、家族経営が中心となる北東部や中西部北部の酪農家には十分な効果が期待される反面、大規模経営が中心で一戸平均年間出荷乳量が平均1,850万ポンド(8,391トン、2007年)に達するカリフォルニア州など西部の諸州にとっては必ずしも十分な対策とはなっていない。

北東部6州から全国へ展開

 MILCは、1997年農業法で特例的に認められた北東部6州の酪農地域における乳業者負担の飲用乳価格不足払い(北東部酪農協定)が2001年9月末で失効したことを契機に、2002年農業法で成立された比較的新しい事業である。当時、北東部酪農協定の延長を認めるよう求めた北東部の酪農家、飲用乳不足払いを可能とする同様の地域協定の新設を求めた南東部の酪農家、地域間の不公平を改善するため1999年から2001年にかけて行われた緊急対策支払いを継続するよう求めた中西部の酪農家、酪農家への価格補償支払いの原資負担に反発していた乳業者などの間で、激しい議論が行われた。結果的に、特定地域における飲用向け生乳への不足払いから、特定地域の飲用向け生乳価格を発動基準とする全国の全生乳への直接支払いに衣替えした上で、全ての財政負担を政府が負う制度に変更することで関係者の妥協が図られた。

2007年以降は発動なし

 MILCが創設された当初、この事業の終期は2005年9月末とされていたが、2005年財政赤字削減法により、補助率をそれまでの45%から34%に引き下げた上で、事業を2007年8月末まで延長することが決定された(注11)。さらに、2007年夏に可決されたイラク戦争歳出法の可決に伴い、さらに1カ月の財政支出の延長が認められ、新農業法における事業継続のための財源(いわゆる「ベースライン」)が確保されることとなった。なお、事業開始当初の2002年から2003年にかけてと2006年後半には支払いが行われたが、飲用向け乳価の高騰により、直近時点では支払いは行われていない。

(2) 新たな制度のポイント

補助率と限度数量の引き上げ

 2008年農業法の成立により、MILCは現行制度の2012年までの延長が承認され、その内容も一部改正された。これまでの事業からの変更点は、市場価格が目標価格を下回った場合の補助率が引き上げられたこと、年間の助成限度乳量が引き上げられたこと、飼料コストの高騰時にクラス1目標価格が上昇するよう変更されたこと−の3点であり、財政規模に配慮して、これら新基準の適用時期が限定されていることが特徴である。

 このうち、補助率の引き上げについては、2008年10月1日から2012年8月31日の間に限り、市場価格と目標価格の差額の34%とされていた補助率を、2002年農業法創設当時の45%に引き上げることになった。2008年9月30日以前と、2012年9月1日以降は、34%の補助率が適用される。

 助成対象となる生乳出荷量の上限は、新農業法の成立により現行の年間240万ポンド(1,089トン)から298万5千ポンド(1,354トン)に引き上げられることになった。下院農業委の公表資料によると、これは搾乳牛120頭相当乳量から165頭相当乳量への引き上げに相当する。補助率の引き上げと同様、助成対象乳量の引き上げは2008年10月1日から2012年8月31日の期間に限定されており、2012年9月1日からは再び240万ポンドの限度数量が適用される。

目標価格と飼料価格の連動

 今回の制度変更のうち、最も注目されるのは目標価格の設定方法の変更である。飼料原料購入価格から試算されるタンパク含量16%乳牛用飼料価格(注12)が100ポンド当たり7.35ドルを上回った場合、目標価格が飼料価格の超過率に45%を乗じた比率に相当する割合だけ引き上げられることとなった。この規定は、昨年7月の下院法案にも同12月の上院法案にも含まれていないが、昨年末のエネルギー法改正を契機とした飼料穀物価格の急騰を受け、北東部ヴァーモント州選出のリーヒ上院議員などの働きかけで両院議員協議会報告書に盛り込まれたものである。目標価格の調整は2008年1月1日にさかのぼって適用され、2012年8月31日までは飼料基準価格が7.35ドルに設定されるが、2012年9月以降はこの基準が9.50ドルに引き上げられる。

(3) 目標価格の設定方法変更の効果

飼料コスト上昇で発動の可能性も

 図4はタンパク質含量16%乳牛用飼料価格の推移を表にしたものである。MILCが開始された2001年12月当時、乳牛用飼料価格は100ポンド当たり4ドル台であったが、2007年に入ると6ドル台後半に上昇し、12月には7.55ドルと今回設定された飼料価格の基準値である同7.35ドルを超えている。直近の2008年5月の乳牛用飼料価格は同9.93ドル/100ポンドであり、基準価格の7.35ドルを35.1%上回っている。トウモロコシだけでなくアルファルファ乾草の価格上昇の影響も大きい点が注目される。

 表3は2007年12月以降のタンパク含量16%乳牛用飼料価格の推移をもとに、引き上げ後のMILC目標価格を試算したものである。2008年5月の修正目標価格は生乳100ポンド当たり19.62ドルであり、同月のボストンクラス1価格19.87ドルに迫っている(図3参照)。シカゴマーカンタイル取引所のクラス3およびクラス4生乳の先物価格は、2010年2月まで、それぞれ100ポンド当たり19ドルおよび17ドルを上回っており(6月5日現在)、これらに上乗せされる形で算定されるボストンクラス1価格が近い将来大きく下落することは考えにくい。しかし、生育遅れが懸念されるトウモロコシに加え、アルファルファ乾草の価格動向によっては、新農業法の適用後まもなくMILCの支払いが発動される可能性も否定できない。



図3 MILC補助金単価とボストンクラスT乳価の推移


資料:USDA/AMS


図4 タンパク質含量16%乳牛用飼料価格の推移

資料:USDA/NASS


表3 タンパク含量16%乳牛用飼料価格とMILC目標価格(試算)

資料:USDA/NASS

(4)その他の酪農・乳業関連事項

 上記以外にも、今回の農業法では酪農・乳業関係でいくつかの変更点がある。以下にその概要を列記する。

(1) DEIPの延長

 乳製品の補助金つき輸出を可能とする乳製品輸出奨励事業(DEIP)は、2012年12月31日まで延長された。その際、WTO協定の約束の範囲内で、乳製品の補助金つき輸出の最大化を図るよう努めるとする規定が盛り込まれた。

(2) 汚染生乳補助事業の延長

 薬品やふん尿などで汚染された生乳が酪農家からの集乳後に廃棄された際に生産者に対して補償金を支払う汚染生乳補償事業は、2012年9月30日まで延長された。生乳生産者団体は、海外悪性伝染病発生時の生乳廃棄もこの事業の対象とするよう求めていたが、これは認められなかった。

(3) チェックオフ事業の拡大

 生産者からの拠出金を原資に牛乳乳製品の消費拡大や研究助成などを行ってきた牛乳乳製品調査宣伝事業(チェックオフ事業)については、生乳拠出金(生乳100ポンド当たり15セント)の徴収対象に新たにハワイ、アラスカ、プエルトリコ地域を加え、輸入乳製品からも生乳100ポンド相当重量当たり7.5セントの拠出金を徴収することとされた。また、事業の支出対象に海外市場開発の項目が加えられた。なお、輸入品からの拠出金徴収は2002年農業法の段階で既に定められていたが、国内の一部が事業対象外であるためWTO協定違反の可能性があるとして、これまで実行が見送られていた。

(4) システムの電子化

 乳製品の販売価格や在庫量などについて、USDAが乳業者から報告を受けるシステムの電子化を進め、電子化の完了時には報告の頻度をこれまでの週1回から増やすよう求める規定が設けられた。また、USDAが四半期ごとに乳業者の査察を行って報告情報の確認を行い、他の市場情報と比較してその妥当性確認を行うことも規定された。なお、システムの電子化推進については予算の範囲内で行うこととされており、具体的な実施期限は定められていない。


5.おわりに

 米国では生乳価格低落時における政府の乳製品買入価格が国際価格よりも高く設定されてきたため、長きにわたり、酪農協を中心とする基幹乳製品の製造業者は国際市場での価格・品質競争よりも国内向けや国際食料援助向けの販売を優先してきた。これは、穀物や綿花など米国の主要農産物が、ローンレートと目標価格を通じた低価格誘導の農業政策を背景に商業的輸出を拡大してきたのとは対照的であり、酪農政策は砂糖政策と並んで米国の農業政策の異端児であり続けてきた。

 2008年農業法は、多くの主要農業団体が1996年農業法の「失敗」から学んだ2002年農業法を高く評価し、これを微修正した上で継続しようと望む中で成立した。市場価格が高騰時こそ農業政策の改革の好機であると訴えた政府の理想は、選挙を控えた議員達の現実的な判断の下に骨抜きにされ、主要穀物のローンレートや目標価格が引き上げられるなど、むしろ改革に逆行する農業法が成立したように思える。米国の酪農政策も大枠としては現行政策の維持・継続が2008年農業法の基本となっており、表面的には世界的な乳製品需要の増大を背景とした乳製品価格の上昇という好機への対応が不十分なようにも見える。

 しかし、酪農政策の変更内容を精査すると、FMMO制度における例外である商系乳業による加工原料乳の契約取引の復活、外国市場での宣伝活動強化につながる乳製品チェックオフの拡充、MILCの支払い上限の引き上げと飼料価格高騰への対応など、長年酪農政策の根幹とされてきたFMMO制度からの実質的脱却を図りつつ、徐々に乳製品市場の国際化に対応する体制を整えつつあることがわかる。すでに酪農協が酪農家に支払う乳価が実質的にFMMO規制の対象外となっていること、FMMO制度の下で乳価算定に使用される乳製品販売価格に長期契約や予約取引での販売価格が含まれていないことを考えると、米国のFMMO制度は実質的に飲用乳価の下支えのための制度に転換しつつあると見るほうが自然だろう。

 2008年農業法は、クラス別乳価への影響がほとんどない乳糖やホエイ調製品などの製造・販売に力を注いできた米国の乳業が、チーズや脱脂粉乳などの基幹的乳製品の輸出に力を入れられる体制に転換していくための着実な一歩を刻んだものと考えられる。


乳製品価格支持制度の主要論点と関係者の主張

注:乳製品の支持価格(購入価格)は製品1ポンドあたり。
チーズはブロック(40ポンド)の価格であり、バルク(500ポンド)はこれより 0.03ドル低い。


FMMO(連邦生乳マーケティング・オーダー)制度関連事項の主要論点と関係者の主張


MILC(生乳所得損失補償契約事業)の主要論点と関係者の主張


その他の酪農・乳業関連事項の主要論点と関係者の主張

(参考資料)
米国農務省:「USDA 2007 Farm Bill Proposals」2007.1
          「Economic Effects of U.S. Dairy Policy and Alternative Approaches to Milk Pricing」2004.7
          「Fact Sheet: Milk Income Loss Contract Program」2007.6     
米国下院農業委農業法関係HP: http://agriculture.house.gov/inside/FarmBill.html
米国上院農業委HP:http://agriculture.senate.gov/
米国議会調査局「Dairy Policy Issues」2007.5
全米生乳生産者協議会「National Dairy Policy Direction: NMPF's Farm Bill Package」2007.3
国際乳製品協会「Ensuring a Healthy US Dairy Industry: Blueprint for the 2007 Farm Bill」2007.4   等

(注1)海外駐在員情報平成19年7月31日号通巻第777号(http://lin.alic.go.jp/alic/week/2007/jul/777us.htm
(注2)最終的には5月23日まで延長されたが、貿易関係の規定は完全版の可決まで失効状態が続いた。
(注3)海外駐在員情報平成19年8月28日号通巻第780号(http://lin.alic.go.jp/alic/week/2007/aug/780us.htm
(注4)いわゆる「祖父条項」により、7月15日以前に輸入された素畜は米国産と見なす特例が適用される。
(注5)3人者規則(3−entity rule)とは、1個人の支払い上限が、当該個人が株主となっている他の2つの農場まで適用される(都合3農場分)というもので、最初の農場分は満額が、残りの2つの農場分はそれぞれ半額までが上限額として認められているため、実際上は各水準の2倍まで受給することができる。
(注6)1910年から1914年の間における生乳価格と農場経費の平均価格比として定められる指数
(注7)海外駐在員情報平成19年10月23日号通巻第788号(http://lin.alic.go.jp/alic/week/2007/oct/788us.htm
(注8)米国の場合、国内支持価格の9.90ドル/ポンドと、1986年〜1988年の平均国外価格の7.33ドル/ポンド(乳製品輸入価格を生乳換算)の差額。WTO通報ではトン当たり価格に換算されている。
(注9)関係者がオーダー規則の改正を申請した場合、公聴会の開催、規則改正案の官報公示、酪農家の2/3以上の賛成票による可決手続きなどを経た上で、農務長官からオーダー規則変更の承認を受ける必要がある。
(注10)本来は価格報告の対象となっていない長期契約の脱脂粉乳販売価格が報告に含まれていた。
(注11)制度上の事業終期は2007年9月末だったが、最後の1カ月は財政支出を行わない規定になっていた。
(注12)USDA/NASSが毎月公表する飼料原料の購入価格から算定される仮想値。トウモロコシ51%、大豆8%、アルファルファ乾草41%の重量比で配合した飼料を想定した価格である 。
 


 

元のページに戻る