牛肉需給の要約と最近の動向


◎牛肉

 乳おすへの影響の大きい輸入自由化

 輸入自由化スタートとなった平成3年4月の牛肉輸入量は32,886トンとなった。こ
の32,886トンは、前年同月と比べて16.6%の増、前月と比べて2.0%の増であった。
これは、当初予想されていた数値に比べ、全体量では「多すぎるのでは」という声
があった。自由化セールで牛肉全体の消費は伸びたものの、輸入牛肉の増は、乳お
すの価格に影響した。

内訳はチルド44%、アメリカ産の伸びが著しい。

・ 3年4月の通関数量が公表され、それによると(部分肉ベース)
(1) 総輸入量は、32,886トン(前年同月比116.6%、煮沸肉等を含む。)
(2) チルドは44.2%(前月は42.7%)、フローズンは55.8%
(3) アメリカ産が48%(前月は44%)を占め、前年同月比142.5%増と、自由化セ
 ールにあわせてチルドの輸入が増大した。

  また、国内生産も和牛と乳用めす牛が大きく伸び、全体でも6.2%の増となっ
 た。

自由化セールで消費は増加

・ 大手スーパー等が3月から4月上旬にかけて実施した「輸入自由化セール」等で
 輸入牛肉の他、国産牛肉では和牛の売れ行きが伸びた。このことは、スーパーや
 業界の意見から、また、事業団推計の推定出回り量(前年同月比114.9%)から
 もうかがえる。

輸入自由化の影響は・・・

・ 当初心配されていた豚肉、鶏肉への影響は、セール期間中は落ち込んだものの、
 その後通常ベースに戻り、売れ行きはさほど落ち込んでいない。

  豚肉の推定出回り量は4月前年同月比101.1%
  鶏肉の推定出回り量は   〃   99.4%

・ 業界の意見をまとめると、乳おすへの影響が一番ということである。
 
  その理由として、基本は乳牛と競合する輸入牛肉の出回り量が増えたことにあ
 る。これに加えて、スーパーでの国産牛肉販売面積の縮小、脱骨の手間がかから
 ない輸入部分肉、さらに、必要部位だけを買えるアメリカ産チルドへの移行、消
 費者が量なら輸入品、質なら和牛と分化したこと等にあるといわれている。

・ この結果、4月の東京市場の枝肉卸売価格は、乳おす「B−3」が1,200円(3月
 に比べ、19円安)「B−2」が861円(同37円安)と値を下げた。

5月以降の動き

・ 連休需要で牛肉をはじめ、食肉の需要は伸びたものの連休明け以降、例年、不
 需期に入り、特に輸入牛肉の荷動きはチルド、フローズンともに悪く、一部では、
 チルドフルセットの売れ残った部位を凍結しているという声も聞こえる。

・ さきに開催した商社との懇談会では、「4月の輸入量は多すぎるのでは」、「5
 月は4月のような数字が続くことはありえない」という感想が大勢をしめた。

・ 5月の東京市場の枝肉卸売価格(速報)は、乳おす「B−3」が1,181円(4月に
 比べ、19円安)、乳おす「B−2」は880円となった(4月に比べ19円高)。


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