◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  尿を撒くのが楽しくなった!

                         (北海道 宮本 豊)

 


 北海道浜はま頓とん別べつ町の酪農家Iさんから最近聞くようになった言葉
である。 さらに、 楽だ、 儲かる、 がこれに加わる。 糞尿問題はこの農場にはま
ったく無縁。 最近では尿が足りなくて近くの農家に分けて貰いに行くようにも
なった。
 
 尿処理機 (光透過性タンク内で8時間強制爆気する方式) の導入は平成4年
で、 処理尿を草地に撒くようになってから、 放牧主体の経営に対する自信がさ
らに深まったと言う。 

 まず、 土が有用微生物を多く含み健全になった。 この結果、 草地の収量増と
利用年度の延長、 購入肥料・飼料費の節減、 疾病の減少、 生乳体細胞の減少、 
おまけにギシギシ (広葉の雑草) などの不食過繁草も減少するなどいいことず
くめ。 まさに、 糞尿は宝の山であり、 魔法の水となったのである。 

 このような効果は1事例だけでは信じられないが、 同町のMさんも同じ装置
を導入し、 放牧と処理尿で経営が変わってきている。 処理尿の散布で草地が改
善され、 乳牛の疾病が減り、 負債も大きく減少させることができたという。 

 乳房炎がなおった?牛乳が本物になった!本物って何だ?自家製のアイスク
リームの色が市販のものよりも自然のカロチンが豊富で黄色いのだ。 常温 (9
月) で1ヵ月放置しても腐らない。 これを本人は 「牛の生理に反しない酪農の
結果」 としている。 

 何とも不思議である。 健康な土、 草、 牛だからこそ成せる技であろうか。 最
近、 私は農業に革命が起きるのではないか、 と思うほどのマジックにかかって
いる。
  

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