◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  二度にわたる地震の教訓を生かせ

                          (北海道 田中義春)

 


 10月4日におきた北海道東方沖地震は、 震度6を記録し、 各地に大きな被害を
もたらした。 特に、 根釧地域の酪農地帯では、 昨年の釧路沖地震以上に農業者へ
経済的、 精神的な影響があった。 

 停電が3日以上も続きミルカーが使えないため搾乳ができず、 乳房炎などの疾
病にかかった牛も多かった。 また、 水道管が破裂し1週間も断水が続き、 牛乳を
入れるバルククーラーで水を運ぶ車も見られた。 

 高くそびえるタワーサイロが倒壊し、 ひび割れや傾きが生じたところも多かっ
た。 住宅などの被害も多く、 日常生活にも支障があり思うように復旧が進まなか
った。 

 今回のように酪農作業がまひ状態に陥ったのは、 経営効率のため導入された機
械が裏目にでたともいえる。 自家発電施設を所有していても、 いざ停電になると、 
容量不足と整備不良により使えなかったところも多かったようだ。 

 根釧地域の普及センター、 行政関係機関では、 このような二度の貴重な地震体
験を生かして、 酪農家がどう対応したかについての事例集を平成7年1月までに
作成することにしている。 

  「停電で搾乳を3回飛ばしたがひどい乳房炎にならなかった」 「水が出ないの
でユンボ (小型のパワーショベル) で3m掘ったら、 井戸水が湧き出し乳房洗浄
に使った」 「牛乳を運ぶタンクローリーで全戸に水を供給した」 などの話題が集
まり始めている。 しかし、 この災害マニュアルが実際に役立つことよりも、 大き
な地震がないことを念じている。 
 

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