◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  2, 000羽の放し飼い、 

 「渥美たまご牧場」 がオープン

                       (愛知県 清水 敬能)

 


 愛知県渥美郡田原町の養鶏農家である白井悟さん (37才) は、 鶏2, 000羽を
放し飼いにし、 自然に近い環境で消費者に見てもらえる養鶏場を目指し、 「渥美
たまご牧場」 を6月にオープンした。 約2, 000uの敷地に鶏舎、 管理棟、 販売
所及び運動場を設置し、 鶏舎から運動場へは自由に出入りできるようになって
いる。 赤玉産卵のイサブラウンとブラウンニックの2鶏種を集卵ベルト、 ニッ
プルドリンカー (乳頭型の突起をつつくと給水される装置) などを備えた開放
式鶏舎で平飼いし、 日中は運動場で放し飼いにしている。 卵は鶏舎内の箱 (ネ
スト) で産み落とされ、 ベルトで自動的に集めており、 衛生対策にも注意を払
っている。 運動場で十分に日差しを浴び、 砂遊びをしたりして、 のびのび飼育
された鶏は、 近付いても逃げないくらいに慣れている。 
 
  放し飼いで生産された卵は場内で直売されており、 なかなか好評である。 ま
た、 ここの特徴は今話題のDHA卵を会員制度で販売していることである。 会
員の条件は、 毎月30個以上を購入することで、 通常1個60円のDHA卵を会員
には40円で販売している。 来場客はもとより宅配便を利用しての販売も展開し
ていて、 一度ここで購入した人からの電話注文もあり、 固定客が着実に増加し
ている。 ただ、 DHA卵はこの牧場で生産しているのではなく、 別の場所で経
営しているケージ飼の鶏卵である。 なお、 両方とも飼料にはアルギットという
海草を加えており、 卵は上質なヨードを含んでいる。 
 
  付加価値を付け、 従来の薄利多売からの脱却を目指す意欲的な試みを、 マス
コミが取り上げたり、 魅力ある農業を目指して若い研修生が来たり、 また、 同
様な構想を抱いた同業者の視察ありと、 関係者の反響は大きいようである。 若
手経営者の白井さんは、 第2段階として観光の要素を含めた施設内容の一層の
充実を考えている。

元のページに戻る