◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  土づくりのための新しいたい肥づくり

― 無臭化し45日で完熟たい肥 ―

                                                    (愛媛県 渡邊 貞昌)


 愛媛県松山市の隣、 伊予郡松前町にあるJAきたいよ堆肥センターでは良質
野菜の生産のため、 「もっと良質のたい肥づくりを」 とのスローガンの下に、 
粉砕機と発酵促進剤を用いた新しい無臭完熟たい肥づくりを開始した。 

 同JAは、 昭和62年から野菜の生産振興に取り組んでいるが、 良質の野菜生
産には基本となる土づくりが決め手であることから、 同年にたい肥センター (
1000u) を設置。 隣接地域から購入した家畜ふんを利用して年間600t のたい
肥生産を行っていたが、 たい肥化の遅れ、 施設回転の悪さ、 品質のバラツキ、 
さらには処理場内の悪臭、 害虫の発生等から利用農家や現場作業員から不満が
出るなど問題が多かった。  そこで同JAでは昨年、 新しい無臭化たい肥技術
を導入し、 今年から良質たい肥の量産を始めた。 原料にはオガクズ敷料の牛ふ
んのみを用いる。 オガクズで65%前後に水分調整した牛ふんを粉砕し、 同時に
瞬間消臭剤、 塩類中和剤、 微生物増殖剤を含む発酵促進剤を混合散布しながら、 
10日間隔で5回切り替えし作業をする。 この牛ふんは、 近隣の和牛一貫経営農
家 (300頭規模) から無償で譲り受けている。 

 粉砕機の処理能力は、 1時間当たり16 tで、 これまで問題となっていた臭気
や害虫の発生はほとんどなく、 完熟までに従来の2〜3倍スピードアップした
45日で無臭完熟たい肥ができている。 

 同JAでは、 今年度のたい肥製造目標を前年度の2倍、 2, 000tとし、 レタス、 
そら豆の生産農家250戸、 120haの圃場に供給しており、 良質野菜の栽培を通じ
た銘柄団地化を目指している。 
  

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