この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。 |
(宮崎県 加藤 和人)
宮崎県児こ湯ゆ農業共済組合管内で近年、 和子牛の死亡・廃用事故が目立っ ている。 それらの多くは分娩直後の事故であり、 繁殖牛の産歴が浅い場合に母 牛の泌乳量が少なかったり、 初乳に各種疾病に対する抗体が十分含まれていな いことが原因とも言われており、 子牛に対して良質な初乳を十分に与えられな いことが事故につながると考えられる。 そこで、 組合は、 分娩直後の子牛に良質で十分に抗体を含んだ初乳を与える ため 「初乳銀行」 を設立した。 2戸の酪農家と契約し、 ワクチンを施した乳牛から出る余剰初乳を100円/ リットルで買い取り、 凍結保存しておき、 和牛子牛生産農家に400円/リットル で提 供している。組合によると、 差額は300円/リットル あるものの、 ワクチンの費用 負担、凍結保存にかかる経費及び人件費等を考えると、 収支が合わないという。 今後、 この 「初乳銀行」 の利用が増え、 子牛事故の低減と収入のアップにつ ながることが期待される。