◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  「かごしま黒豚」 

  17年ぶりに東京へ生体出荷      

〜 お客さんに喜ばれる商品づくりを目指して 〜

                                                           (鹿児島県 有村 裕之)

 


  「かごしま黒豚」 が平成6年2月から東京芝浦市場に毎月15頭ずつ上場され
ている。 10月26日にも15頭が上場され、 肉豚価格が低迷する中、 1キログラム
当たり平均805円の高値でせり落とされた。 
 上場されている黒豚は、 鹿児島県が造成した 「サツマ」、 「ニューサツマ」 に
由来する肉豚である。 流通関係者や消費者の評価・情報を収集し、 「かごしま黒
豚」 の銘柄向上に役立てるため、 17年ぶりに生体で出荷した。 
 今回は、 生産者代表と市場関係者及び小売店との懇談会も開催され、 「黒豚し
ゃぶしゃぶ」 を囲んでの意見交換がなされた。 市場関係者からは 「昔のかごし
ま黒豚のイメージは、 胴・足とも短く、 頭も小さく、 肉はまろやかでやわらか
かったが、 これまで上場された黒豚は胴・足とも長くなっていると感じた」 「今
回のせりでは市況の3倍の値が付くものもあったが、 通常の評価としては市況
の200〜250円高が相場ではないか」 「市場では確実にファンが増えているので
増頭をお願いしたい。 味を落としてもらっては困る」 などの意見が出された。 
 これに対し 「250円高では東京までの輸送を考えると合わない。 輸送費 (約
200円/kg) を差し引いた産地価格で最低650円はほしい」 との生産者からの意
見も出された。 
 鹿児島県は、 年間約11万頭の黒豚を出荷する全国1位の生産県であるが、 飼
養管理技術の改善と品質の向上を図るため、 平成2年10月に 「鹿児島黒豚生産
者協議会」 を設立した。 さらに4年6月からは 「かごしま黒豚証明制度」 発足
させ、 差別化と銘柄確立を進めている。 
 

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