★ 事業団便り


牛乳販売店の経営の安定化、活性化をめざして

−牛乳販売店優良事例中央発表会−
1.東京のグランドヒル市ヶ谷において、2月3日(木)に(社)全国牛乳普及協会及
 び(社)全国牛乳流通改善協会共催の、牛乳販売店優良事例発表会が開催されまし
 た。この発表会は、斬新、独創的な販売技術、手法等により、飲用牛乳の消費拡
 大に効果をあげている優良な牛乳販売店の事例を全国約13,000店の中から選んで
 公開発表し、牛乳販売店の経営の安定化、活性化に役立てることを目的に行われ、
 今年で7回目を迎えました。

2.今年の優良事例の発表者は、都道府県・ブロック(9ブロック)段階の審査を
 経て選定された、「宅配部門」、「卸・自販機部門」の代表各9人の18名です。

 発表された事例の主なものとして、「宅配部門」では、

@ 家業から企業への脱皮を図っている

A コンピューターを活用して商品管理や伝票発行などの業務の合理化を図り、浮
 いた時間で得意先の開拓に努めている

B 従業員(アルバイト、パートを含む)の福利厚生を充実させて定着率を高めて
 いる

C 出来高払いや奨励金支給、独立採算制の採用により従業員にやる気を起こさせ
 ている

D 遠隔地の宅配を、牛乳の他バイクもトラックに積んで配送する母船式宅配で対
 応している

E 配達車やユニフォームの統一化を行い、イメージアップを図っている

等がありました。

 また、「卸・自販機部門」では、

@ 配達車にハンディターミナルや車載プリンターを搭載して納品の迅速化、正確
 化、省力化に努め、帰社後ホストコンピューターによる一括処理で事務の合理化
 を図っている

A 在庫管理を厳しくし、返品防止に努めている

B オリジナルセットを作って拡売を図っている(乳飲料、はっ酵乳、デザート類
 の袋づめセット)

C 1日に数回配達し、納入先で欠品が出ないようにカバーしている

D 牛乳販売業のイメージアップのために独自のCIを実施している

等の事例が発表され、いずれも全国の牛乳販売店の模範となるものばかりでした。

3.優良事例の発表後、審査委員会が開かれ、優良賞(14店)、優秀賞(2店)、
 最優秀賞(2店)の各賞の発表が行われました。

 「宅配部門」では、最優秀賞に宮城県仙台市の木村多利治さん(竃リ村商店)、
優秀賞に栃木県岩舟町の時田吉司さん(岩舟時田販売店)が、また、「卸・自販機
部門」では、最優秀賞に東京都江戸川区の高津征夫さん(篠崎販売店)、優秀賞に
愛知県岡崎市の水谷源次郎さん(美合販売所)がそれぞれ選ばれたほか、その他の
方々には優良賞が贈られました。

 木村さんは、地元メーカーへの商品開発の提案により、宅配向けの商品開発や宅
配先の都合を考慮した配送時間の設定等、積極的な経営を実践している点が高く評
価されました。

 また、高津さんは、パート勤務者や近隣の主婦等との人間関係を重視した経営を
行い、理想的なミルクセンターとしての形態を確立している点が受賞のポイントで
した。

 表彰式の後、鴻巣健治審査委員長が、「厳正なる審査を行ったが、各店舗とも優
秀なものばかりで、甲乙つけがたかった。販売店のお客さんに対する気配り、ニー
ズにあった商品の開発や提供、こまめな情報の収集等、大変な努力をされているこ
とに感心しました。これからの販売店のモデルとして、今後も頑張って欲しい」と
審査の経過と感想を述べました。

 また、長年審査にあたっている経営専門家の上河辺順委員からは、その講評の中
で「今年の傾向は、@新しい世代の後継者が動き始めている、Aコンピューターの
活用により次の時代を模索し始めている、B地域社会の活性化に取り組んでいる、
C高齢者の雇用等高齢化社会への取り組みも見られる、Dメーカーとの信頼関係が
出来てきたことにより、宅配専門商品やニーズに合った商品の共同開発が進むよう
になってきている等、これからの販売店のあり方や方向づけが特徴的だった」との
お話がありました。

4.そして、閉会の辞に続き、記念撮影、懇親会と皆さん、和やかなひとときを過
 ごされました。

 牛乳販売店をめぐる情勢は、必ずしも楽観できないものもありますが、共働き家
庭の増加、高齢化社会の進展、宅配専用の差別化商品の導入等により宅配が見直さ
れています。

 この発表会による優良事例が全国の牛乳販売店の経営改善の参考なり、励みにな
ればと感じました。

(助成部 古林 博)


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