◎地域便り


冷害年イネワラの飼料特性

(岩手県 戸田忠祐)


 岩手県経済連では、冷害年イネワラの飼料特性について、県内の調査研究機関
から公表された分析結果をもとにして、農家向けに利用情報を提供している。

 1993年の冷害では、東北の稲作は大被害を蒙ったが、その反面で思わぬ高成分
のイネワラを手にした。最近、その待ちかねた分析結果が、経済連分析センター、
岩手県畜産試験場、農水省の東北農業試験場から出揃った。3場所とも、分析は
酵素法によっているが、東北農業試験場はそれに加えて、緬羊による消化試験も
行っている。これらの結果から、不稔の程度が90%を超える冷害ワラのTDN(可
消化養分総量)は67%に達し、4割不稔では57%など、平年ワラの1.5倍前後で
あることが分かった。

 消化性を高めて、TDNを押し上げているのには、茎葉に含まれるデンプンや糖
類の割合が非常に高い背景があるが、最高では全乾物の40%にもなるこれらOCC
成分(易消化成分、例えばデンプン、糖類など消化しやすいもの)のおかげで、
サイージ開封後の変敗が早まる懸念がある。またイネ科牧草に比べると、一般に
低水準な粗蛋白質や無機成分のアンバランスが、不稔の程度によっては一層増幅
されてくる。このため、冷害ワラの給与に当たっては、不稔の程度をベースにし
て、畜種別の飼料設計をするよう奨めている。 


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