◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

地域ぐるみで「UNKO」戦略

(北海道 田中義春)


 糞尿の有効活用・自然に優しい酪農を目指して、農協・普及所・試験場が一丸と
なって活動を展開しているプロジェクトチームがある。略称3K−UNKOプロで、根
室管内計根別地域を対象として平成4年に設立し活動している。

 3Kとは「きつい・汚い・臭い」という酪農家の代名詞であると同時に、「根釧
農試・計根別農協・北根室農業改良普及所」の頭文字である。また、UNKOはもちろ
ん「うんこ」であり、英語の「利用・自然・優しさ・組織」の最初の文字を表して
いる。

 環境問題については地球レベルで議論されており、酪農も最近の増頭傾向で大き
な問題になっている。特に、この地域を流れる河川はサケ・マスの増殖施設が多い
地域であるだけに、関係者にとっては深刻だ。

 最近の調査では、計根別は、根室管内の平均的な酪農地域で1戸平均年間1,358
トンの糞尿が排出され、かなりの窒素量に相当する。しかし、処理施設の保有率は
堆肥盤74%、尿溜76%で、全道並みであるが中身は十分とはいえない。

 また、たいきゅう肥の堆積期間は13ヶ月、切り返し1〜2回、散布時期は草地の
更新時などの現場実態が明らかになった。同時に、経時的成分変化・減肥可能量や
堆肥盤との距離による土壌成分傾向など科学的に裏付けもできた。

 これらは「UNKOニュース」として情報を発行し、糞尿の有効利用と環境について
意識を高めている。さらに、年1〜2回は研修会を催し、関係者から大胆な提言が
出され活発な討論の場となっている。

 従来まで試験場は研究、普及所とJAは農家指導という形態であったが、三者の
連携により農業者が受け入れやすい技術にしていくことができる。しかも、いま一
番関心の高い糞尿問題であるだけに、今後の成果が期待されている。


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