(岩手県 帷子剛資)
岩手県畜産試験場では、平成4年度から日本短角種の分割2胚移植で生産された 双子牛を用いた検定試験を開始した。 日本短角種は、北東北及び北海道の一部で飼養され、飼い易く、増体がよく赤身 肉で健康食品を生産する品種として評価される反面、肉のしまり・きめ等が黒毛和 種に劣ることから輸入牛肉と競合し、枝肉価格、素牛価格の下落を招いている。 この試験は、日本短角種が輸入牛肉に対し優位性を確保するための肉質向上を目 指した種畜評価の期間短縮及び効率的産肉能力検定の確立を目的としている。 供卵牛は同場外山分場にけい養中の繁殖雄牛群を超音波で肉質測定した最上位牛 で、これに間接検定優良種雄牛を交配、受卵牛に分割2胚移植した。双子の一方を 去勢肥育、他の一方を増体能力検定を実施し、生後約20カ月齢で種畜評価しようと いうものである。 平成4年に15頭の受卵牛に分割2胚移植した結果、平成5年4月13日から10月13 日までに2組の雄と1組の雌の同一遺伝子牛が生まれた。組内の生時体重差は最大 3sでその後の発育もほとんど同じであった。そのうち、最初に生まれた1組(雄) は12月から検定を開始、他の2組についても順次検定する予定である。 同場では、今後この試験をアニマルモデルによる育種価の推定、核移植技術等を 組み入れながら平成8年まで繰り返し実施し、その結果を黒毛和種にも活用し、効 率的種畜生産に結びつけたいとしている。