◎地域便り


期待の高まる肉用牛ヘルパー活動

(宮崎県 甲斐敬康)


 過疎化、高齢化が進展する本県の農業。なかでも畜産は農業粗生産額の過半を占
める重要な産業だけにこの問題は重要かつ深刻な課題である。

 本県肉用牛の飼養労働力の中心は、高齢者や婦人の方々であるが、過重な労働に
ついては、後継者が中心となって結成した肉用牛ヘルパー組合が援助し、現在13組
合が活動している。

 本県初の肉用牛ヘルパー組合は、平成2年3月にJA串間市の20代から40代まで
の若手生産者24人によって結成された。この組合の活動は市内のJA大束、JA市
木地区にも波及し、平成4年6月にはこれらが一体となった串間市肉用牛ヘルパー
組合が組織されている。

 この組合では、約50人の組合員が農家の要望に応じて、セリ市場までの肉用牛の
引き出しや飼料作物の刈り取り、梱包、サイロ詰めなどの高齢者、婦女子では困難
な作業を中心に、決められた料金で請け負っている。

 平成4年度の利用状況は、セリ市の引き出し69頭、飼養管理4件、飼料の集草及
び梱包作業15.3ha、刈り取り0.8haなどで、利用料金は、セリ市の引き出し3,000円
/頭、飼養管理6,000円/日、飼料作物の栽培、収穫作業が1,000円〜11, 000円/
10aとなっている。

 こうしたヘルパー活動の取り組みは、高齢農家から喜ばれているのはもちろんの
こと、農業機械の有効利用や研修活動等による後継者の肉用牛生産技術の向上など
に大きな成果をあげているとともに、地域畜産の活性化や従来からの「きつくて休
みのない畜産」から、農業者の暮らしを見直した「ゆとりある畜産」づくりを進め
るためにも、大いに力を発揮しているところである。
 

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