◎地域便り


黒毛和種不妊牛の治療牧場

(宮崎県 山県正次)


 小林市は、宮崎県の南西部に位置し、農業粗生産額の57%に当たる109億円を畜
産で占めるなど、畜産の盛んな町だ。なかでも、肉用牛は1,590戸の農家で23,000
頭(繁殖めす牛8,300頭)が飼養されており、年間約6,000頭の子牛を生産するなど、
当市の基幹畜種となっている。

 このため、当市では、一年一産を目標とした肉用牛の受胎率の向上に取り組んで
いるところである。

 しかし、なかには、非常に受胎しにくい牛がいる。そこで、これらの不妊牛45頭
を、昨年6月から市営牧場(乳牛育成牛を主体に年間60〜80頭を周年放牧中:35ha)
に試験的に入牧し、治療をすることとした。

 農家から連れてこられた牛は、パドックで4〜5日間、慣らし飼いをした後、放
牧場に出す。放牧後1ヶ月もすると、入牧時に540kg前後と肥りぎみであった体重
も、470〜480kgに減少し、発情が見られるようになる。この段階から、農業共済組
合の家畜診療所、農協、人工授精師、市が一体となり、総合的な治療と人工授精を
行っている。

 この結果、現在までに入牧した45頭のうち20頭がすでに受胎し、入牧してから約
3ヶ月後には退牧している。

 今では、このことが不受胎に悩んでいる農家の間で評判となり、入牧希望が増加
しているところである。

 当市としても、これらの要望に応えるため、平成6年度には、常時40頭近くの受
け入れが出来るよう、現施設(収容能力25頭)の増設を計画しているところである。
 

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