(鹿児島 有村裕之)
10か月手塩をかけて育てた愛牛がわずか数万円。電光板を見る生産者の得もいわ れない表情。悪夢のような情景が3日間繰り広げられました。 すべての農作物にはサイズや等級があり、価格も段階的に設定されます。おおむ ね2〜3割の幅で推移しています。しかし、肉用牛はどうでしょう。今回のセリで も系統が優秀とみられる牛は60万円を超え、その価格差は10倍にもなっているので す。同じように飼った牛がこんなに差があっていいのでしょうか。牛にとってみて もかわいそうな気がしませんか。もちろん優秀な系統の牛を導入するにはそれなり の投資を行っているのですが………。 資金力もなく施設も思うようなものが作れないの零細農家には優秀な牛に更新す る力も情報も手段もないのが現状ではないでしょうか。毎日せっせと餌をやり、発 情がくれば精子を入れる。妊娠を期待しながら10か月、無事に生まれたとしてさら に10か月、セリを楽しみに毎日子牛に触れながら育てます。セリの後、寂しくなっ た牛小屋を見て涙を流す。この日課は優秀牛もそうでない牛も同じではないでしょ うか。(以下省略;原文のとおり) 鹿児島県熊毛郡中種子町の広報に掲載された一和牛農家の嘆きです。