(鹿児島県 宝 正己)
鹿児島県加世田市の肉用牛肥育農家、小田健市さん(39)は昨年4月、牛肉の直 売店とレストランを開店し、自分で育てた「鹿児島黒牛」を自分で売ることを始め た。新鮮・安全・手頃な価格が評価を得て、連日にぎわっている。更に、今年から は、宅配便による直売も始める。 小田さんの肉用牛生産部門の経営規模は、黒毛和種1,000頭を、雇用5人と父母 で飼養管理する。 小田さんの経営理念は、一般家庭で味わえる和牛作りで、そのために一般の高級 肉志向の和牛経営とは異なり、3等級を中心とした大衆肉生産に努めている。徹底 した経営試算から肥育用子牛価格は15万円に抑えることにし、その子牛を肥育して 目指す肉牛に仕上げる技術を研究・確立している。こうしてできた牛肉を経営理念 通り消費者に届けるために、既存の各種流通段階を通さず、直売店・レストランの 経営、宅配便による直売により実現することにしている。