◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  名古屋コーチン開発の歴史

                                                          (愛知県 大塚 勝正)

 


 名古屋コーチン (品種‥名古屋種) は、 明治初期に元尾張藩士の海部荘平・
正秀兄弟が従来の地鶏と中国から輸入された 「バフコーチン」 を交配し、 卵肉
兼用の実用鶏として作出された。 明治38年に国産鶏第1号として品種公認され、 
昭和30年代に至るまで広く国内で飼育され養鶏振興に大きく貢献した。 昭和30
年代後半に外国から白色レグホーン (卵用) とブロイラー (肉用) の各専用種
が導入されたことで飼育数が激減したが、 近年おいしい 「かしわ肉」 を求める
消費者のニーズが高まり、 再び需要が年々増加している。 
 
  美しい羽装と脚が鉛色であることが大きな特徴で、 食鳥として120日から150
日間飼育され、 2kgから3kgで出荷されている。 肉色は赤味を帯び、 適度にし
まった歯ごたえと、 こくのあるうまみが特徴である。 また、さくら色の殻を持
つ卵も、 黄身の舌ざわりが良くおいしい卵として需要が増加しつつある。 
 昭和48年に県農業総合試験場が肉用種としての改良に新たに着手し、 昭和59
年に従来に比べ1. 5倍の体重 (出荷時) に改良された肉用名古屋種U型が、 平
成3年には肉用名古屋種V型が開発され、 生産体制が確立した。 これらの種鶏
は県畜産総合センターで増殖され、 同センターが民間ふ化場への唯一の種鶏供
給機関となっている。 
 
  県内では年間約50万羽が、 鶏舎の中で自由に歩き回ることのできる 「平飼い」 
方式で生産され、 ブロイラーの飼育期間 (約8週間) の2倍以上の時間をかけ
て飼育されることで肉のおいしさに一層みがきがかけられている。 今後、 国際
競争及び国内の産地間競争が一層激化するものと思われるが、 名古屋コーチン
のように消費者ニーズに合った畜産物を生産し提供することが今後の畜産振興
を図る上で重要課題となっている。 



 

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