◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

土壌センチュウ抑制効果の高い 

ギニアグラス栽培と利用 

                                                          (群馬県 板橋 正六)

 


 暖地型牧草であるギニアグラス (ナツカゼ) は、 土壌センチュウ (ネコブセン
チュウ、 ネグサレセンチュウ等) 抑制効果の高いことが立証されており、 また、 
残存肥料を吸収し塩類濃度を低下させる効果もあるので、 野菜ほ場の連作障害回
避作物としても注目されてきている。 
  一方、 自給飼料としてのギニアグラスは、 夏季高温でも生育力旺盛で、 2〜3
回の刈り取りでトウモロコシに劣らぬ乾物生産が得られる。 この牧草栽培の位置
づけは、 野菜畑との交換耕作あるいは野菜連作ほ場の期間借地等による自給飼料
生産が野菜専作農家の土壌改善に大いに効果を発揮することで、 年々その栽培面
積は増加傾向にある。 
 
  このような特徴をもったギニアグラスの栽培は、 群馬県では平坦地で6月上旬
が播種適期で、 7月中下旬には1番草が収穫できる。 2番草は8月下旬、 3番草
10月中旬の3回刈りをすれば乾物収量は10a当たり概ね1.8〜2.0トンで、 トウモ
ロコシの1. 6〜1. 8トンに勝る収量が期待できる。 
 
  栄養成分はトウモロコシに比較して低蛋白・高繊維質である。 サイレージ化は
やや品質に不安定な面があるので十分な予乾が必要である。 乳牛の採食嗜好は出
穂期を越えるとやや劣るので、 出穂前に収穫するか、 または濃厚飼料と混合で嗜
好性の問題は解決される。 また、 出穂期まで生育させると草丈が150p以上に達
し倒伏しやすいこともあり、 その前に刈り取るのがポイントである。 
 
 最近、 高泌乳に対応した飼養管理が行われる中で、 繊維質の多給という観点か
らもギニアグラスの利用は、 今後有望な草種の一つである。 
 
 本県で連作障害が問題となっているコンニャク、 ヤマトイモ専作経営と経営間
交互輪作や交換耕作を行うことで、 農薬依存から脱皮した環境保全型農業を目指
す上からも大いに活用したい作物である。 
 

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