◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

   飼料の1日1回給与による黒毛

  和牛の昼間分娩誘起法    

                                                          (愛媛県 大野  喜雄)

 


 昼間分娩誘起法については、 既に試験研究機関等でも研究されているが、 愛
媛県経済連肉用牛センターでもその立証を試みた。 
 なぜ、 飼料を夕方から夜間にかけて給与すると昼間に分娩が集中するのであ
ろうか。 牛が活発に行動しているときは、 分娩を促すホルモン (オキシトシン)
の分泌を抑えるホルモン (アドレナリン) が多くなり、 分娩に起こりにくい。 
逆に、 牛が安静にしているときの状態は、 オキシトシンが多く分泌されること
により分娩に至ると言われている。 このようなことから、 分娩前に飼料を夜間
給与すると、 牛は夜を活発に行動する時間帯として、 昼間を静かな休息の時間
として認識することから分娩が誘起されるのかもしれない。 
 
  上記の理論を参考にして、 当センターで、 平成5年11月21日〜6年9月11日
までの分娩牛93頭について分娩予定の4週間前から1日1回給与 (午後3時〜) 
を行い、 データを取った。 対照区 (朝夕2回給与) として、 平成5年5月29日
〜6年3月25日の分娩牛46頭のデータを用いた。 
 
  この結果、 昼間分娩率 (昼間を午前6時〜午後9時とする。 ) は、 試験区が
82% (77/93頭)、 対照区が56% (26/46頭) であり、 夕方1回給与法により、 
昼間分娩率が高まる結果となった。 試験区において、 早朝分娩 (午前6時〜7
時) が若干多かったが、 これは夕方の給与時刻がまだ早すぎたのかもしれない。 
この給与時刻を午後6時または午後7時以降にすることにより早朝分娩が減り、 
より昼間に近づく可能性が出てくる。 
 
  このことにより、 夜間分娩における無看護の事故 (難産、 圧死、 凍死等) が
減少すると思われ、 飼育者本人も楽になる。 だまされたと思って試みてはいか
がだろうか。 

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