この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。 |
鹿児島県では、 種雄牛の遺伝的能力を早期に判定する手法として胚移植技 術(ET) を応用した 「きょうだい検定」 に取り組んでいる。 「きょうだい検 定」は、 胚移植により同時期に生まれる数頭の全兄弟牛の中から種雄牛候補 牛を1頭選抜し、 残りの兄弟牛を間接検定に準じて肥育し、 その成績から早 期に種雄牛候補牛の産肉能力を推定しようとする手法である。 このたび、 19セット目の 「きょうだい検定」 が終了した。 選抜した種雄牛 候補牛 「政金」 号は、 1日平均増体量 (DG)で日本一の記録を出した 「宝政」 号 (終了時体重691s、 DG1.11s、 脂肪交雑2.4、 ロース芯面積49p2) の産 子で、 母牛 (供胚牛) も過去に特選や極上の産肉成績の産子をもち、 「きょ うだい検定」 の結果が期待されていた。 「政金」 号の全兄弟牛 (去勢牛) 3 頭を間接検定に準じた12か月間肥育の結果、 父親ゆずりの増体・肉質の良さ を示し、 平均で終了時体重627s、 DG1.08s、 脂肪交雑2.6、 ロース芯面積49 p2と優秀な成績であった。 これまで、 このような過剰排卵胚移植による全兄弟のほか、 分割卵による 一卵性双子 (クローン) を用いた 「きょうだい検定」 も実施している。 「き ょうだい検定」 は、 後代牛 (種雄牛候補牛の産子) を用いた間接検定に比べ、 産肉能力が判明するまでの期間が約30か月短縮されるというメリットがあり、 種雄牛を造成する上で今後さらに有効な手法になると思われる。