★ 専門調査員レポート


畜産経営にみる2つの方向

−乳肉複合経営と繁殖・肥育一貫経営 −

高千穂商科大学商学部 助教授  梅 沢 昌太郎


 

問題意識の背景

全国連による統一 「ブランド」

  日本の畜産業が、 ガット・ウルグアイラウンド実施に伴う国際化の進展後も生
き残るには、 コストダウンも重要であるが、 それにもましてマーケティング・シ
ステムの確立が重要である。 そしてこのことは農業の共通の認識となりつつある
が、 現実には、 その方向性が正しく理解されているとは言い難い。 農業者の多く
は、 生産志向が強く、 良い製品を作れば売れると考えているのである。 
 
  乳製品の関税化は、 酪農の危機であり、 その戦略は牛肉の場合と同じ次元で考
えるべきであると言う声は非常に高い。 しかし、 その解決案となると非常に少な
いのが現状であろう。 
 
  ある全国連が 「ブランド」 牛肉の戦略を明確にしたとき、 それは 「大変に面白
い」 システムであると評価をしたことがある。 生産からマーケティングまでのシ
ステムを、 一貫してその全国連が責任を持つという戦略が、 大変に魅力的に見え
たのである。 「農協も変わったな」 というのが、 その時の正直な感想であった。 
 
  その戦略は、 和牛肉ではなく、 乳雄牛肉に適用されるべきだと考えた。 圧倒的
多数の無名ブランド (消費者が認知していない) の牛肉産地にとっては、 全国に
適用する (はずの) ブランドは大変に有効なものであるからである。 
 
  和牛肉では特定の極少数のブランドだけが評価されて、 他の優良な牛肉はまる
でブラックホール的にそのブランドに吸い寄せられている現実があることは周知
のことである。 
 
  日本の和牛生産者は自己の技術に頼むところが多く、 また自己のブランド確立
に熱心である。 それにひきかえ、 乳雄牛肉の場合は、 ほとんどブランドらしいも
のが確立されていない。 スーパーの店頭でも、 「国産牛肉」 という表示で販売さ
れているだけである。 ここでは、 全国連が統一ブランドを開発して、 マーケティ
ングの努力の効果を非常に大きくする可能性がある。 
 
  ブランド戦略は必然的に、 食肉加工品などの製品開発にまで発展する可能性が
大きく、 その面でも生産者による新しい統合化戦略として大変に興味があった。 
農業者も遂に戦略マーケティングにまで、 目を向け始めたかという、 ある種の感
銘を覚えたものである。 

酪農家自らによる乳雄牛の肥育

 乳用種牛肉の価格は、 輸入牛肉との競合で低落し、 これが酪農の危機をもたら
していることは、 周知の事実である。 
 
 この危機を乗り越えるためには、 酪農家自らが生産した乳雄牛を肥育して、 肉
牛として販売することが重要であると、 私は主張した。 酪農と肥育の複合経営が
一つの選択として、 残されていると数年前に考えたのである。 
 
 全国連のブランド戦略を 「大変面白い」 と表現したのは、 このような問題意識
があったからである。 
 
 残念ながら、 全国連の戦略は乳雄の問題には向かわず、 むしろ和牛の生産シス
テムに重点を置く方向となっているようである。 また、 酪農の肉牛兼業の問題も、
「生産のシステムがまったく異なる」 という、 生産者の言葉でその可能性が無いも
のと考えるようになった。 
  

現実に進んでいた乳肉複合経営

栃木県 岡田牧場

  今年の2月、 神奈川県の畜産関係の人にこのことを話した。 その人は 「現実にそ   
のような生産者が存在する」 と言い、 栃木県那須町の岡田牧場を紹介してくれた。 
    
  岡田憲史さんの経営は約40ヘクタールの農地で、 酪農、 肉牛そして畑作を行って   
いる。 畑は、 牧草やとうもろこしなどの飼料作物を生産するほか、 畜産の堆肥の処   
理に利用している。     
  経営の実態は有限会社で、 従事者は父、 母、 岡田夫婦、 弟夫婦である。 研修生は、    
常時半年位の期間で1から2人、 多いときでは3人ほど滞在している。 この研修生   
は日本大学の学生やドイツ人、 そして早稲田大学の外国人留学生等多彩である。 
    
  岡田さんは今年42才、 茨城県にある農業実践大学校を卒業後、 1年間カリフォル   
ニアで酪農の勉強をしてきた。 カリフォルニア州北部の50頭から100頭規模の家族   
経営の酪農家で学んだという。 岡田さんの経営は、 このアメリカにおける勉強と体   
験を基礎として発展させたものと言えるだろう。     
  岡田牧場の飼養規模は、 搾乳牛100頭、 未経産牛20頭で、 肥育牛80頭、 哺育・育   
成牛200頭である。 肉牛は全てF1 (黒毛和種とホルスタインの交雑種) である。 
    
  年間総売り上げは、 1億4千万円程度である。 そのうち、 肉牛の売り上げが4千   
万円、 残りが酪農の売り上げと雑収入等である。 
  

酪農が基本

  酪農は 「岡田牧場の基本であり、 収入を計算できる」 という。 
    
  酪農は毎月売り上げが立ち、 変動が少ない。 それに対して、 肥育は27から28カ月   
も収入がない。 また、 価格の変動が大きく、 「ポイントの持って行きようがない」    
という。 ではなぜ肉牛に手を出したのかというと、 「肥育牛に対する免税措置」 が魅   
力であったと言う。    
  
  逆に労働力については、 酪農は毎日が忙しいが、 肥育は労働力が少なくてすむ。 手   
間がかかるのは分娩後の2、 3カ月と仕上げ間近でのロット調整が必要となる時期と   
言う。           

 肥育牛の出荷は全て生体である。 「生体出荷してその評価を自分で見なければ勉強   
にならない」 と岡田さんは言う。     

 肥育方法について岡田さんは、 「枝肉重量を大切にしている」 という。 「ムダなコス   
トや手間をかけないで肉質が多少悪くても、 枝肉重量が良ければ収入は増加する」 と   
いう発想である。 
徹底的なコスト削減
  岡田さんの経営は合理主義の一言に尽きる。 トラクターは25年前のものであり、 ト
ラックは捨てる寸前のものを活用している。 新しい機械を購入するときも、 アメリカ
の代理店から直接見積りを取り寄せ、 それをもとにして、 国内の代理店と購入の交渉
をする。 設備も個別に交渉し、 場合によっては自分で作る。 修理を自分でするのは当
然である。 彼の行動にアメリカ流のプラグマチズムを見ることができる。 
 
  岡田流の肉牛生産には、 和牛専門の生産者に見るような、 A5至上主義は陰を潜めて
いる。 売り上げが確保できることが最大の課題であるという、 経営者の思考が強く出
ていると言えよう。 
 
ETによる乳肉複合経営
 みどり牛乳ET部会 榊原政義さん
 次に愛知県半田市のみどり牛乳ET部会長の榊原政義さんを尋ねた。 乳牛を借り腹にし
て黒毛和牛の受精卵 (胚) を移植して、 黒毛和牛の生産・肥育と酪農を同時に行うこ
とを研究している部会である。 現在8名のメンバーがいる。 
   「最初、 ETによる和牛生産を簡単に考えていた」 と榊原さんは述懐する。 ETを実施
してみると、 牛にも個体差があり、 受精卵のよく取れる牛とそうでない牛とがあり、 
そう簡単にはいかない状況にある。 しかし、 この新しい技術の試みは、 受胎率の向上
とともに成功の道を歩んでいると言っても良いであろう。 
  ETにこだわる理由は、 F1と ET和牛とでは、 収入が1頭で 10万円は違うからである
という。 同じA3でも、 枝肉価格でキロ約300円は違うというのである。 
 
 ETで和子牛とミルクの生産 
 榊原さんの牧場では、 肥育牛が300頭 (うち1割がET生産による黒毛和種)、 搾乳牛
200頭の経営規模である。 奥さんと父が経営に参加している。 今年は肥育牛100頭を出
荷する予定である。 A4以上の比率は60%程度であるという。 ETとF1とが混じってい
るが、 F1の種 (精液) の銘柄チェックはしていないという。 
 子牛生産から肥育までの一貫生産であると、 1頭450万から50万円で採算が取れる。 
和牛肥育専業と比較すると、 有利な経営が出来るということであろう。 
 和牛では繁殖から肥育までの一貫生産が注目されているが、 和牛による繁殖では、 
「親が遊んでしまい効率が悪い」 という。 「ETで和牛の子牛が取れて、 母牛からミルク
が取れる」、 乳肉複合経営のメリットを彼は強調していた。 
 和牛生産者にとっては脅威であろうが、 乳肉複合経営の新しい時代が来ていること
は間違いなさそうである。 
 
和牛生産者多角化の実行
 肥育専業農家 小栗源太郎さん
 小栗源太郎さんは愛知県半田市で大規模な肉牛の肥育を行い、 全国に名前の知れた肥
育経営者である。 
 小栗源太郎さんは、 酪農から乳肉複合に転じ、 さらに肥育専業農家あわせてレスト
ラン経営までを行っている素晴らしい経営者であるが、 「難しくなければ経営者とし
て面白くない」 という意味の発言を、 NHKテレビの農業番組で聞いた時、 「苦しい、 辛
い、 暗い」 ムードを強調する農業のなかで、 その言葉は大変に新鮮で、 魅力のある響
きを持って、 わたしの心に迫ったのである。 
 現在、 5人の従業員がいて、 小栗さんを含めて6人の規模である。 従業員1人当た
り200頭の牛を管理しているが、 これを1人当たり500頭の規模にすることが経営目標
であるという。 
 合理的な肥育経営をするには、 「人を減らすか、 牛を増やすしかない」、 「人を減らす
ことはできないから牛を増やす」 というのが小栗さんの経営方針である。 
 5人の従業員は、 飼養管理、 施設・環境管理など作業を牛舎別に分け、 責任をとる
仕組みとなっている。 牛舎の面積は 12, 000平方メートルである。 粗飼料は全量購入
となっている。 半田市は港に近く、 飼料が安く手にはいる。 
 新しく建設された牛舎はほとんど機械化されており、 作業も効率的に分担されてい
て、 1回1時間朝晩2時間で作業が終わる仕組みとなっている。 1人当たり 500頭と
いう根拠は、 このような効率的な飼養管理によるものである。 
 しかし、 牛の健康管理は経営者である小栗さん自身が行っている。 「牛の顔を見れば
、 健康状態が分かる」 と、 朝と昼休みの2回、 それぞれ1時間かけて牛の状況を見て
回るという。 
乳肉複合、 和牛繁殖そして肥育専業
 小栗さんは昭和42年から、 乳肉複合経営を行ってきた。 ヌレ子4頭を1年間未去勢で
自由に育てた。 1年後8万円から4万5千円、 平均で6万円で売れた。 「放っておいて
も2万円儲かった」 という。 
  「肉は儲かる。 手間が要らない」 ということを覚えたのである。 付近の酪農家から
子牛を買って複合経営を積極的に行った。 
 さらに、 区画整理によって、 人間と牛が分離されることになり、 家族的様式の酪農
を止め、 肉牛専業となった。 「肉牛のほうが楽」 であることが、 大きな理由であったと
いう。 
 昭和57年に和牛生産を手がけた。 牛肉自由化の声が出始めていたころであるが、 九
州で一番安い市場で、 「血統も何も分からないまま、 へぼ牛を」 57頭買った。 
 それを肥育し、 大阪の南港市場に出荷したところ、 「和牛づくりが上手だ」 と褒め
られ、 高い値で売れた。 
 しかし、 そのように順調なことばかりでなく、 品質に波を打つことがあり、 良い時
は A4が80%も出るが、 悪い時には50%を割ることもあり、 その理由が分からないと
いう。 
  「この道1本、 死ぬまでに肉牛づくりの極意を知りたい」 と心の内を語る。 和牛専
門の生産者の、 本当の声が聞こえてくる。 
 小栗牧場は1993年2月まで肥育の他に繁殖も行い、 250頭の繁殖牛を飼っていた。 し
かし、 今は肥育・育成牛のみとなっている。 子牛の価格は下がり、 コスト割れは目に
見え、 「売ることから、 買いに回る」 ことにしたのだという。 繁殖にかける労力を肥育
牛の拡大に向けたほうが有利になるという判断が働いたのであろう。 
 
自分で作ったものを売ってみたい −レストラン経営−
  小栗牧場で注目すべきことは、 レストラン事業を展開していることである。「自分
で作った物を売ってみたい」 という願望から、 レストランに進出した。 
 実際に経営してみて、 その競争の激しさに驚いているという、 レストランの経営者
は  「利は元にあり」 と考える。 「レストランでは安く買いたい、 小栗牧場は高く売り
たい」 ということで、 その攻めぎあいが大変であるという。 そして、 「商人は安いも
のを何処からでも買ってくる」 という実感を体験している。 
 その感慨には理由がる。 小栗牧場は 「知多牛」 の銘柄名を考え、 肉をこの銘柄で販
売している。 この銘柄はこの地域の農協を通じて出荷される肉牛にも付けられ 「知多
和牛」 「知多ホルスタイン牛」 「知多交雑種」 と付けられている。 
 小栗牧場直営のレストラン 「クラウンステーキ・オグリ」 は、 半田市内に2軒あり、 
当然牧場で肥育された牛肉を使用している。 ところが近隣の他の経営者が営業するレ
ストランが 「オグリ」 の名を使っているにもかかわらず、 必ず小栗牧場の牛肉を使っ
ているかどうかが分からないと言うのである。 牛肉の流通チャネルが複雑で、 さらに
ブランドが途中で消える問題が、 ごく身近なところで起きているのである。 
 小栗さんのレストランでは料理のメニューなどにも工夫が凝らされていて、 なかな
か好評なようである。 建物や室内のデザインも良く、 生産者直営の牛肉レストランと
しては、 優れたもののうちに入るだろう。 
 このレストランは株式会社組織となっていて、 小栗さんが社長で地域の人々が株主
となっている。 実際の経営は娘婿の山田信行さんが当たっている。 
 メニュー開発、 シェフやサービス係の管理など、 牛肉生産とはまったく違う世界が
広がっている。 
 小栗牧場は、 酪農から乳肉複合経営さらには繁殖・肥育一貫生産経営を経て、 現在
は千頭規模の肥育専門の和牛生産者として大規模化の途上を歩んでいる。 その経営の
基本は 「一生懸命楽しんで」 という生き方によっている。 そのような生き方をしたも
のが、 最後に勝つという。 困難を楽しむライフスタイルが、 今日の事業形態をもたら
したと言えるだろう。 
 レストラン事業も、 そのような事業哲学の基本に乗っていると言えよう。 しかし、 
「組織の寿命」 あるいは、 「プロダクト・ライフサイクル」 の発想によって、 事業評価
を行い先を見通した事業の発展を行う事業哲学を見ることも可能である。 
 レストラン事業も、 製品寿命を意識した、 新しいサービス事業への多角化戦略と位
置づけることもできる。 このレストランをフランチャイズ・チェーン化して事業とす
ることは、 多角化の方向として、 魅力があるのだろう。 
 畜産という側面ばかりではなく、 日本の農業経営者の新しい姿として注目される。 
 
複合と多角化の経営管理手法
資金的な有利性
 経営的には、 乳肉複合経営の 「資金的」 な有利性に注目する必要がある。 
 岡田さんも榊原さんも、 「ミルクでは安定した経営ができる」 という。 それは価格
的な安定性と同時に、 定期的にお金が入ってくること、 つまり資金繰りの有利性があ
るからである。 小栗さんのレストランも毎日現金が入ってくるという利点は非常に大
きいであろう。 
 このような資金繰りから農業を見るという傾向は、 稲作経営でも見ることができる。 
稲作法人の若い経営者達は、 「資金繰りのために稲作だけではなく、 加工事業なども
積極的に行う」 と述べている (新潟県の法人化セミナーなど)。年1回の売り上げ代金
の回収では、 従業員を雇うことはできないのである。 
 畜産でも経営という観点を導入すると、 この資金繰りという観点は重要になるだろ
う。 
家族の仕事の多様化による事業規模の拡大
 つぎに注目されることは、 乳肉複合経営が家族の仕事の多様化による事業規模の拡大
として考えられていることである。 
 親と息子夫婦 (娘夫婦) あるいは弟夫婦の仕事が、 酪農と肥育を複合することによ
って、 生まれているのである。 このような複合的な事業経営が定着すれば、 合理的な
経営形態による、 新しい家族農業が出現する可能性が大きい。 家族だけでなはく、 小
栗牧場では従業員の子供も後継者として育っている。 
 このような形態は、 農業後継者を育てる一つの手段として有効になるかもしれない。
  また、 地域活性化の切り口になる可能性も大きい。 

どこまでも追求するコスト低減
 既述のトラクターやトラックのこと以外にも飼料のコスト管理に厳しい姿勢を取って
いることも、 岡田、 小栗両氏に共通している。 
 特に小栗牧場では、 一部は混合飼料を購入しているが、 その他は、 ビール粕等を利
用する等原料を購入し自家配合している。 円高のメリットを最大に生かすには、 外国
から直接購入するのが一番良いとしてコンテナによる乾牧草の大量購入を行い、 市価
キロ45円の飼料を36円で買うことができる手法を見いだした。 
 小栗さんは地元のみどり牛乳農業協同組合の仕事として共同購入に切り替えている。
  小栗さんは和牛の生産・販売面でもこの地域のリーダーとしての重要な役割を果た
してきた。 
 個人の力だけではなく、 その独創性を共同の物に変えていることに注目すべきであ
ろう。 

ベンチャー型農業者と農協の役割
 岡田さんも小栗さんも、 個人の創造性を最大に生かしている、 ベンチャー経営者であ
ると言うことができるだろう。 2人は面識は無いと考えられるが、 岡田さんがインタ
ビューのなかで、 「乳肉複合経営では半田のほうが進んでいる」 と言ったことを考え
ると、 半田市の事例は彼の脳裏にしっかりと刻まれているのであろう。 
 榊原さんも含めて、 酪農と肉用牛を新しい経営者の目から考え、 行動する個人が出
現していることが注目される。 
 さらに、 それをサポートする農協の存在も考える必要がある。 とくに、 半田市のみ
どり牛乳農協の役割に注目する必要がある。 「酪農と切り離せないから」 とETやF1の
研究部会が存在し、 積極的な活動を行っている。 また、 飼料の共同購入なども重要な
事業としている。 
 地道な事業としては、 コンポスト事業の展開がある。 これは生産組合の組織となっ
ているが、 糞尿の処理がこの施設によって解決されているメリットは大きい。 酪農や
肉用牛の将来の発展が、 環境問題によって阻害される可能性が大きい状況では、 この
ような大規模なコンポスト事業は注目される。 
 全ての人々が、 組合の存在を重視していることは、 貴重なことと言えるだろう。 
 酪農も肉用牛も1人ではできない事業であり、 家族そして地域の人々の協力が必要
になる。 組合も、 その意味では、 重要な共同組織として考えられているということで
あろう。 
 国際化が更に進展することが予想される21世紀初頭には、 酪農にとって今よりもも
っと厳しい経営になることは明らかである。 肉用牛は既にその嵐の中にある。 
 新しいベンチャーの経営によって、 その荒波を乗り切れる農業者が出現しているこ
とに注目する必要がある。 

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