◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  水不足に悩む畜産農家

                                                          (愛知県 川村 悌志)

 


 去年の冷夏から一転、 この夏は猛暑・渇水と、 お天道様のきまぐれに農家はふり
まわされてばかり。 水源地帯のダムの水不足による影響が深刻な愛知県では、 8月
17日以降、 知多半島を中心に1日19時間の時間断水をはじめ広域的な断水が実施さ
れている。 この断水の影響で貯留用のポリタンクやミネラルウォーターが飛ぶよう
に売れるなど住民の混乱ぶりも大きく、 多量の水を必要とする畜産農家への影響も
深刻である。 
 
  断水が実施されている地域の畜産農家のうち、 70%強の農家が井戸水を利用して
おり、 それ以外の上水道だけに頼っている農家が今回の断水の影響を直接被ってい
る。 
 
  現在のところ昼間の一定時間は給水する時間断水のため、 給水時間中に多くの水
を畜舎にため込むことができるよう、 貯水槽や大型給水タンクを設置する農家が多
い。 しかし、 折角設置した給水タンクも、 水道の出が悪く水をため込むことができ
なかったり、 設置場所によっては自動給水装置など一定以上の水圧を必要とする機
会が十分に機能しないなどの問題もでている。 
 
  また、 酪農家を中心に、 給水車やバキュームカーを手配し、 井戸水や近くの沢・
池の水を有効に利用する農家も多い。 パイプラインの洗浄や泌乳牛の飲水など酪農
経営では他の経営より多量の水を必要とすることから、 悩みは大きい。 なかには渇
水状態が長期間に及ぶことを懸念し、 新たに井戸を掘る農家もでている。 
 
  いずれにせよ家畜にとって、 今年の夏は猛暑と渇水の2重苦。 被害が最小限に留
まるよう、 雨を願う日々が続く。   
 

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