◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

肉豚の差別化販売

(群馬県 嶋田 重一)

    近年、 商品に対する消費者の目はますます厳しくなってきている。 考え
  てみれば、 「市場経済であるかぎりその主役は消費者である」ということは
  経済学の常識である。 しかし、 日本における今までの経済の主役は、 なぜ
  か生産者であった。 
   
    価格破壊という言葉をよく耳にするが、 このことは、 ようやく消費者が
  経済の主役になりつつあることを示している。 そして、 消費者は、 価格の
  みならず商品の安全性・衛生性さらには品質に対しても感度を研ぎ澄まし
  てきているのである。 
 
    現に、 群馬県食肉市場においても、 買受人は、 セリにおいてより安全で、 
  衛生的で、 高品質の枝肉を安定的に購入することを強く望んでいる。 
   こうした時代の変化に対応するため、 当市場においては、 農場を選定し
  た一部の豚枝肉について、 出荷者名を標示し、 この豚はどこの誰が生産し
  た豚なのかについて買受人に情報提供している。 
 
    いわゆる差別化販売であるが、 これには肉質等の基準があり、 この基準
  に適合したものが、 差別化販売の農場になるわけである。 この方法は、 す
  でに5年程前から定着しているが、 豚の銘柄化といった最近の傾向とあい
  まって、 生産者はもとより買受人からも喜ばれている。 
 
    生産者が生産する銘柄豚と消費者のニーズをいかに結びつけるかという
  ことは、 食肉市場にとっても今後ますます重要になってゆくものと思われ
  る。  

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