◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

飼料の自家配合にご用心!

(愛媛県 高橋  敏方)

  愛媛県最東端の川之江市で、 母豚70頭の一貫経営を夫婦2人で営むM氏は、 
約10年前から母豚に自家配合飼料を給与してきた。 同市内の豆腐屋から週1
回約1トンのオカラを無料で調達し、 圧ペンコーン500キロ、 ふすま100キロ
、 米ぬか180キロ、 二種混150キロ、 魚粉20キロ、 粉末海藻2キロ、 カキが
ら7キロに納豆菌を配合し、 乾物中TDN83.9%、 DCP15.5%に調製している。
好成績(母豚回転率2.3)を得て、 年間この餌代だけで完全配合飼料に比べ約
200万円のコスト減を誇っていた。 
 
  しかし、 ここ数年間の豚価低迷でさらなる飼料代の節減をねらい、 平成6
年の7月頃から一番高価な粉末海藻の配合を中止した。 すると、 平成7年の
1月分娩から調子が狂ってきた。 なんと生まれた子豚の奇妙な体型にびっく
り仰天。 体毛が全く無くおまけに全身真っ赤で水ぶくれ、 放っておくと乳を
飲めず2〜3日で死亡。 M氏もこのような状態が分娩11腹中7腹の子豚33頭 
(37%) に発生し、 薄気味悪くなり家畜保健衛生所に病性鑑定の依頼をして
きた。 
 
  検査の結果は、 ヨウ素欠乏症であり、 血清中総ヨウ素量の正常値5μg/
dl以上に対し3.7μg/dl (5頭平均)。 中には1.2μg/dlの母豚もいる状
態で、 また飼料中のヨウ素量は平均値で0.145ppm/DMという結果だった。 
 
  早速、 M氏は粉末海藻の配合を再開したところ、 発生もなくなり、 現在は
以前のような優秀な経営に戻っている。 飼料中のヨウ素量は平均値で1.05p
pm/DMで十分満たされている。 自家配合飼料は安価で調製給与が可能で、 最
近のような厳しい養豚界で生き残る1手法でありメリットも大きいが、 少し
手を抜くと今回のような実例が生じるので定期的な飼料分析が重要である。  

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