◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

夢は安心な食肉の供給

(愛媛県 小西  和孝)

  愛媛県の南西部に山に囲まれた歴史と文化の里、 宇和町がある。 こつこつ
と粘り強く農業を続ける風土の地域で、 町の農業粗生産額は、 約40億円で肉
牛部門は1割を占めている。 
 
  ここ宇和町の山間部の一角に畜産関係の大学を卒業後、 アメリカ、 カナダ
の畜産事情を勉強し、 肥育経営に取り組む岡崎哲氏 (45才) の経営する岡崎
牧場がある。 
 
  経営規模は、 育成牛300頭、 肥育牛200頭。 初期の昭和56年頃の決算では
650万円の赤字であったが、 その後、 省力化を目指した自動給餌機の導入、 
大型ファンによる床面乾燥、 消毒や獣医師の定期的巡回などの疾病の早期発
見、 早期予防に努めた。 さらに、 低コストを目指したコンピューターによる
飼料計算と単味飼料を安価に購入し、 肥育段階に応じた自家配合飼料を工夫
し、 各成分過不足のない効率のよい飼料給与で年間800万円の飼料費の節減
により堅実経営に取り組んでいる。 
 
  一方、 畜産システム研究会や消費者との交流など人との出会いを経営に生
かすため、 情報の収集に努め、 ホルモンや抗生物質等を使用せず消費者の立
場で牛肉を安心して買ってもらえる食肉の加工部門 「有限会社ファームスフ
ーズ」 を設立。 無添加製品のハム、 ソーセージを製造し各方面に出荷し、 持
ち前のチャレンジ精神を自らの力の及ぶ限り発揮している。 肥育農家のリー
ダーとして、 健全経営に向かって前進を続けている岡崎さんである。 
 

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