★ 農林水産省から


加工原料乳生産者補給金等暫定
措置法施行令等の改正について

農林水産省畜産局畜政課 畜産総合対策室 山口 潤一郎


 本誌1月号において紹介した、ガット・ウルグァイ・ラウンド合意を踏まれた
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律が、本年4月1日よ
り施行された。
 本年2月24日に公布された加工原料乳生産者補給金等暫定措置法施行令の一部
を改正する政令及び加工原料乳生産者補給金等暫定措置法施行規則の一部を改正
する省令は、この法律の施行に当たって、新たに加わった畜産振興事業団の業務
に関して所要の規定の整備を行うことを主たる内容とするものであり、法律と同
じく4月1日に施行された。以下、政令を中心にその概要を紹介する。
 
1 法改正の概要

 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律は、概ね次の4点
について、所要の規定の整備を行った。

(1)畜産振興事業団による指定乳製品等の一元輸入規定の廃止
(2)畜産振興事業団による民間輸入に係る指定乳製品等の買入れ及び売戻し
(3)畜産振興事業団による現行アクセス分の指定乳製品等の輸入
(4)畜産振興事業団による指定乳製品の売渡し

2 政令等改正の概要  

(1)指定乳製品等の範囲の見直し現行制度上、安定指標価格が定められ、畜産
  振興事業団の買入れ売渡しにより価格の安定を図る対象となっているのが、
  指定乳製品である。指定乳製品は、畜産物の価格安定等に関する法律によっ
  て定義されており、具体的にはバター、脱脂粉乳、全脂加糖れん乳及び脱脂
  加糖れん乳のうち一定の規定のものがその範囲に含まれている。一方、改正
  前の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法において、指定乳製品等とは、指
  定乳製品の価格の安定を図るため、畜産振興事業団の一元輸入に係らしめて
  いた乳製品のことであり、指定乳製品の他、一定の規格に適合する全粉乳、
  バターミルクパウダー及びホエイパウダーがその範囲に含まれていた。
   今回の法改正により、指定乳製品等については、畜産振興事業団の輸入対
  象品目であることには変わりはないが、新たに畜産振興事業団が行う瞬間タ
  ッチ売買の対象とすることとなった。これに伴い、指定乳製品の価格の安定
  をより効果的に図るため、これまでの指定乳製品等の範囲を見直し、指定乳
  製品及びおよそ指定乳製品と代替関係にある乳製品を基本的にすべてその範
  囲に含めることとした。政令上は、製品が多岐にわたるため、これを品名で
  列挙することは困難であることから、関税番号により規定することとし、規
  格も定めないこととして以下の製品を指定乳製品等として定めている。

 ア 関税定率法別表04・02項に揚げるもの(第0402・91号又は第0402・99号の
  一の(一)に揚げるものを除く。)
  製品例・・・脱脂粉乳、加糖れん乳、全粉乳、加糖粉乳
 イ 関税定率法別表第0403・90号の一に揚げるもの(バターミルクパウダーそ
  の他の固形状のものに限る。)
  製品例・・・バターミルクパウダー、発酵粉乳

 ウ 関税定率法別表第0404・10号の一に揚げるもの
  製品例・・・ホエーパウダー、ミネラル濃縮ホエイ、調整ホエイ
 エ 関税定率法別表第04・05号の一に揚げるもの
  製品例・・・バター、バターオイル
(2)畜産振興事業団の瞬間タッチ売買の例外
 (1)で説明した指定乳製品等を輸入する場合、畜産振興事業団による瞬間タ
 ッチ売買の対象となるが、これまでの一元輸入制度と同様、指定乳製品の価格
 の安定に悪影響を及ぼさないものについては、例外を設けている。

 ア 輸入に係る指定乳製品等の畜産振興事業団への売渡しを要しない場合とし
  て、
  @関税定率法等の規定によりその関税が免除される指定乳製品等を輸入する
   とき
  A用途の特定がない関税割り当てを受けて指定乳製品等を輸入するときを定
   めている。これは@については、特定の用途に供させ、さほど数量も多く
   ないと考えられること、Aについては、用途特定なしで関税割当てがなさ
   れるものであり、国内需給差に基づき輸入されるものであることから指定
   乳製品の価格安定に悪影響を及ぼさないものと考えられるためである。具
   体的には、@には皇室用貨物、外交官用貨物、保税工場で使用した国内産
   原料と同種の物品(輸入身替品)及び駐留米軍関係物質等が含まれる。A
   については、現在、ミネラル濃縮ホエイ14,000トントン(製品重量)につ
   いて用途特定のない関税割当てが行われている。
 イ 用途の特定がある関税割当てを受けて指定乳製品等を輸入する場合は、特
  定の用途に供されるため、指定乳製品の価格安定に悪影響を及ぼすおそれが
  なく、また、年間の輸入申告回数が膨大で事務の煩雑さが増すことが予想さ
  れるため、基本的には瞬間タッチ売買の対象としていない。しかしながら、
  用途外使用される場合には通常の場合と同様の扱いをすべきものであること
  から、特定の用途以外に使用される場合の畜産振興事業団への売渡しを確保
  する契約を輸入申告前に締結すべきこととされている。この特定の用途とし
  て、指定乳製品等の種類ごとに以下のように定めている。
すべての指定乳製品等−国際的な規模で開催される見本市(博覧会、共進会その
           他これに類するものを含む。)における販売
バター及びバターオイ−沖縄県の区域内における還元乳の製造
ル並びに脱脂粉乳   沖縄県の区域内の乳児その他の農林水産大臣が指定する
           者の飲用に供するための調整粉乳の製造
           
バター及びバターオイ−本邦と外国との間を往来する航空機用
ル         
脱脂粉乳      −小学校、中学校、夜間において授業を行う課程を置く高
           等学校、盲学校、ろう学校、養護学校若しくは幼稚園の
           児童、生徒若しくは幼児又は関税暫定措置法施行令(昭
           和35年政令第69号)第69条第1項に規定する児童福祉施
           設の児童の給食用
           関税暫定措置法施行令第69条第2項に規定する配合飼料
           の製造
ホエイ及び調整ホエイ−関税暫定措置法施行令第1条に規定する配合飼料の製造

調整ホエイ     −乳児その他の農林水産大臣が指定する者の飲用に供する
           ための調整粉乳の製造
 なお、特定の用途外に使用するときであっても、関税暫定措置法上の転用(例
えば、学校給食用の脱脂粉乳を配合飼料用に使用する場合)に該当し、関税を追
加的に支払う必要のない場合には、畜産振興事業団に売り渡す必要はない。

(3)担保の種類
 畜産振興事業団は瞬間タッチ売買を行うに際して、相手方に担保を提供させる
ことができるが、その担保の種類は、以下のとおりである。

 ア 金銭
 イ 国債及び地方債
 ウ 事業団が指定する社債(特別の法律により法人が発行する債券を含む。)
 エ 事業団が確実と認める保証人の保証
(4)売渡予定価格
 法改正により畜産振興事業団は、その保管する指定乳製品等を指定乳製品の価
格高騰時以外に、農林水産大臣の指示する方針に従って売り渡すこととなった。
この場合、一般競争入札を行うに当たっては、売渡しに係る指定乳製品等の品質、
受渡場所、保管期間、保管費用、需給事情及び時価並びに物価その他の経済事情
を勘案して売渡予定価格を定めることとなっている。この売渡予定価格は非公開
であるが、価格高騰時の売渡しに係る売渡予定価格と同様入札に当たっての最低
価格となり、これ以下での入札は無効となる。
3 その他

 このほか、2月24日に「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法第14条の4
第1項の規定に基づき、農林水産大臣が定める金額を定める件」が告示され、瞬
間タッチ売買により畜産振興事業団が徴収する金額が、品目ごとに6年間分定め
られた。
 以下に脱脂粉乳及びバターについてその徴収額を示す。
品目 7年度 8年度 9年度 10年度 11年度 12年度
脱脂粉乳

(無糖、脂肪分が全重量の1.5%以下のもの)

349 340 331 322 313 304
バター

(脂肪分が全重量の85%以下のもの)

926 902 878 854 830 806









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