◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

子牛生産に好評の初乳銀行

(鳥取県 松島 孝志)

  鳥取県の農業共済団体 (NOSAI) では、 平成6年度から肉用子牛の損耗防
止のため 「初乳銀行」 に取り組んでいる。 
 
 現在、 肉用子牛生産においては、 価格低下など環境が厳しいなかで、 生産
コストの低減がさらに必要となっており、 そのため子牛の損耗防止は重要な
課題である。 子牛の損耗の多くは、 ほ乳期に発生するロタウィルス感染症及
び大腸菌症によるものと考えられ、 その対策に初乳の効果的給与が望まれて
いる。 乳牛、 特に経産牛の初乳には、 免疫グロブリンなどが多く含まれてい
ることから、 これを子牛に与えることで、 下痢を予防し病気に対する抵抗力
の強い牛をつくる効果がある。 

 そこで、 NOSAIでは乳用牛の余剰初乳を有効利用し、 子牛の事故を減らそ
うと、 平成6年度から県下全域で初乳銀行システムの推進に取り組み始めた。 

 初乳を提供している酪農家は現在18戸で、 3産以上の母牛の分娩直後の余
剰初乳を県内5カ所のNOSAIに凍結保存 (500mlパック) している。 初乳不
足で虚弱体質の子牛や母牛が乳房炎、 起立不能などにかかって初乳を飲ませ
られない場合など、 農家へ無料で供給している。
 
 平成6年度には、 延べ100戸近くの農家に利用され、 利用農家からは好評
を得ており 「初乳銀行制度」も順調なスタートを切った。 今後、 冷凍初乳パ
ックの大型化(500cc→1リットル)、 利用農家の分娩予定日に合わせた集乳・保
存、 大腸菌等に対するワクチネーションで抗体価を上げ、 初乳の質の向上を
図るなど、 初乳銀行システムの改善に努める考えである。 
    

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