◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

オカラの有効利用

(愛知県 朝日 美紀夫)

  愛知県では古くからオカラ、 ビール粕等を用いた粕酪農が盛んで、 この粕
酪農で全国有数の酪農県になったともいえる。 近年、 豆腐製造業者、 特に都
市部の製造小売りを中心とした中小業者が、 豆腐の製造過程で出てくるオカ
ラの処理に困っている。 これは、 酪農家が郊外へ展開し、 都市部の豆腐製造
業者との距離が離れていったことと、 中小業者のオカラの量が酪農家の規模
拡大によるエサ需要の拡大についていけなくなってきたためとされている。 
 
  このため、 愛知県豆腐商工業協同組合では、 処理拡大の方策を探るべく、 
6年度に県内のオカラの流通・利用の検討を行った。 県内のオカラの発生量
は約4万トンと推定され、 そのうち75%の3万トンが飼料用として利用され、 
残りのほとんどが肥料用に向けられ、 本来、 消費してほしい食用としては僅
かに20トンとほとんど利用されていないことが分かった。 

 平成3年の調査では、 90%が飼料用に向けられており、 一番使用量の多い
酪農家が規模拡大により取り扱いにくく、 手間のかかるオカラが敬遠されて
きたため、 オカラの飼料としての利用価値が下がってきていると思われる。 
オカラはまず食品として利用されるのが最良であるが、 食品としての利用に
多くを期待できない現在、 飼料として有効利用するのが次善の策であろう。 

 愛知県は、 都市化が進んでいる割にまだまだ畜産の盛んな地域であり、 家
畜のオカラ給与可能量及び飼養頭数からすれば、 飼料用としての需要量は発
生量の8倍以上あるものと推定され、 豆腐業者がいかに畜産農家の飼育形態
の変化に向いていくか、 オカラのサイレージ化、 乾燥化等農家の利用しやす
い形にしていく検討を今後はすべきと組合では提言している。 
 
  畜産農家にとっても、 低コスト化を迫られている現在、 いかに安価な資材
を使用するか、 いかに安価な飼養形態を取るかが求められている。 豆腐業者
が処分に困っているオカラを有効に利用するためのサイレージ化や乾燥化を
考えるなど、 他分野の有益な情報を入手し、 自分の経営に合わせた工夫をす
ることが生き残りの鍵になってくるのではないだろうか。 毎年2月1日に行
うものであり、 市町村・農協の協力を得て実施している。 

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