◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

家畜ふん尿処理の消臭剤の利用実態

(愛知県 原田 英雄)

  1994年5月から12月にかけて、 畜産農家の臭気に対する防除対策の基礎資
料とするために、 愛知県内の主な畜産農家239戸 (酪農68、 肉牛26、 養豚70、 
養鶏75戸) について家畜ふん尿に対する消臭剤の利用実態調査を行った。 
 
  調査対象農家の経営者の年齢は40代から50代の中核的世代が多く、 規模は
平均家畜頭羽数が酪農64.8頭、 肉牛67.8頭、 養豚732.7頭、 養鶏34,725羽で
ある。 将来の計画についてはいずれの家畜の農家ともに60%−70%が現状維
持としている。 
 
  畜舎の周囲100m以内に住宅がある畜産農家が49%あり、 かなり畜舎周辺
に住宅が押し寄せて来たことを示しており、 このことが、 規模拡大を困難に
させる一因になっている。 
 
  調査結果の概要は次のとおりである。 
  
 臭気及びハエ・害虫に対する意識を見てみると、 畜産農家の68%と多くが
これらに対して気にかけていた。 時期的には5月から8月が最も気になる時
期としている。 
 
  臭気に対する苦情を受けた農家は35%で、 消臭剤を使用して消臭対策を実
施している農家も40%となっている。 その動機は「自ら環境改善のため」とす
るものが多く、 50%以上である。 

 消臭剤の利用については単品利用が多く、 その種類は畜種により異なって
いるが、 養豚では28種類に達している。 使用場所は畜舎が最も多く、 使用方
法は飼料や水に添加するものが多く、 67%。 その効果については  @ 「よく
効く」 が15%、 A 「効く」 が24%で、 併せて40%程度が効くとしていた。
  また、 消臭以外の効果では 「堆肥がよくなった」 が20%であり、 問題点と
しては 「コストが高い」 とするものが多く、 全体で44%となった。 

 畜舎及び堆肥舎内のアンモニア濃度は養豚、 養鶏農家が比較的高く、 酪農、 
肉牛農家では比較的少なかった。 
 

元のページに戻る