◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

家畜臨床検査研修センターがオープン

(鹿児島県 金氣 幸治)

  鹿児島県農業共済組合連合会が建設を進めていた「家畜臨床研修センター」
(敷地約3,000u、 建物約830u) が、 地方競馬全国協会等の補助を受けこ
のほど完成し、 鹿児島市七ツ島の鹿児島臨海工業1号用地にオープンした。 

 同センターは、 これまでの臨床研究施設を移転拡充し、 多発する家畜の疾
病の早期発見や早期治療及び獣医師研修の充実を目的に建設が進められてき
た。 
 
  ガット・ウルグァイ・ラウンド合意の実施など畜産をめぐる最近の厳しい
情勢の中、 畜産農家はより効率的で生産性の高い畜産経営の確立を目指して
いるが、 家畜の多頭化・集団化が進むにつれ、 疾病の発生状況も多様化・多
発化の傾向にあり、 家畜の損耗防止の強化が重要な課題となっている。 
 
  鹿児島県の共済加入家畜の事故発生状況 (平成6年度) は、 死廃事故が約
22,000件、 病傷事故が約297,000件で増加傾向にあり、 乳牛の産前産後の起
立不能症、 肥育牛のビタミンA欠乏症による抵抗力の低下などの病気が目立っ
ている。 
 
  今回建設されたセンター内には、 細菌検査室、 生化学検査室、 土壌診断分
析室、 研修室、 図書室等が整備されている。 高度検査機器や移動検診車等の
整備も今後さらに進め、 潜在性疾病や特定多発疾病等の治療検診を行うとと
もに、 地域家畜診療所で取り組めなかった高度な臨床検査を行うこととして
いる。 また、 獣医師のレベルアップを図るため、 新任獣医師や中堅獣医師の
研修の場としても活用される。 
 
  今後、 家畜共済事業における高度な診断・治療体制や地域家畜診療所と連
携のとれた組織的な家畜臨床検査体制が確立され、 一層の畜産経営の安定に
貢献することを期待したい。
 

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