★ 農林水産省から
牛肉、豚肉の新しい国境措置について
(農林水産省畜産局 食肉鶏卵課 課長補佐 伊地知 俊一)
1 は じ め に
1986年9月にウルグァイのプンタ・デル・エステで開始された第8回目のガット
の多角的関税・貿易交渉であるウルグァイ・ラウンド (UR) は、 当初予定された
4年間の交渉期間を大幅に超える7年余りの長期間の交渉の末、 1993年12月15日に
合意に達した。 これを受け、 世界貿易機関 (WHO) 設立協定とともにUR合意内容
を1995年4月から実施するための関連国内法の改正案が第131臨時国会に提出され、
1994年12月2日衆議院、 12月8日参議院で可決、 成立した。ここでは、 牛肉及び豚
肉の新しい国境措置について説明する。
2 牛肉の国境措置
(1) UR合意の概要
@ 牛肉については、 1988年の日米、 日豪合意に基づき1991年度から輸入が自由化
され、 その関税率は1991年度70%、 1992年度60%、 1993年度50%となっていた。
また、 1994年度以降の通常関税は、 1993年度の関税水準を超えて引上げられる
ことはなく、 また、 その水準でウルグァイ・ラウンドにおける関税交渉の対象
となるとされており、 交渉の結果、 以下の内容で関係国と合意がなされた。
牛肉の関税率を1993会計年度において適用されている50%から2000会計年度ま
でに38. 5%まで引き下げる。
A @にかかわらず、 生鮮牛肉及び冷蔵牛肉 (HS0201)(以下 「生鮮等牛肉」という。)、
冷凍牛肉 (HS0202) 各々について、 会計年度の第1四半期から第3四半期まで
のいずれかの終了時に、 会計年度の初めから関連する四半期の終了時までの輸
入量が、 前年度における相当する期間の輸入量の 117%を超える場合には、 当
該会計年度の残余の期間について、 また、 当該年度間の輸入量が前年度の輸入
量の 117%を超える場合には、 翌年度の第1四半期について、 上記@に規定さ
れる関税率よりも高い関税率 (50%、 譲許税率) を適用する関税の緊急措置を
導入する。
(2) 関税の引き下げ
関税の引き下げは毎年度等量{(50. 0%−38. 5%)÷6年間} ずつ引き下げられる。
具体的には関税暫定措置法で、 牛肉の年度毎の関税率を次のとおり規定している。
年度 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
関税率(%) |
50.0 |
48.1 |
46.2 |
44.3 |
42.3 |
40.4 |
38.5 |
(3) 関税の緊急措置
生鮮等牛肉及び冷凍牛肉に係る関税の緊急措置は関税暫定措置法の第7条の5で規
定されているが、 その内容は以下のとおりである。
@ 緊急措置が発動された場合に関税は50%に引上げられる。
A 当該年度の初日から当該年度の第1四半期、 第2四半期及び第3四半期に属する
各月の末日までの生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量が、 当該年度の前年度の初
日から同年度の当該各月の属する四半期の末日までの生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の
輸入数量に百分の百十七を乗じて得た数量としてあらかじめ大蔵大臣が告示する
数量を超えた場合、 その超えることとなった月の属する四半期の翌四半期の初日
(その超えることとなった月が6月、 9月又は12月であるときは、 当該超えること
となった月の翌々月の初日) から当該年度の末日まで緊急措置が発動される。
なお、 第1四半期について例をあげると、 4月の1カ月間又は4、 5月の2カ月
間の輸入量が前年度の第1四半期 (4〜6月) の輸入量の117%を超えた場合には、
緊急措置は7月1日から翌年の3月31日 (年度末) まで発動される。 しかしなが
ら、 通常は4月、 5月の1、2カ月間で前年度の第1四半期 (3カ月間) の輸入量
の117%を超える可能性は少なく、 超える場合には6月までの3カ月間の輸入量が
超える可能性が高いものと考えられるが、 この場合、 6月の輸入量が判明するの
は7月下旬となるため、 緊急措置は8月1日から年度末までの発動となる。 第2
四半期についても、 第1四半期の輸入量が前年同期の輸入量の117%を超えること
なく、 4月から7月又は8月までの4、5カ月間の輸入量が前年度の第1及び第2
四半期 (4〜9月の6ヵ月間) の輸入量の117%を超えた場合は10月1日から、 4
月から9月までの輸入量が前年同期の輸入量の117%を超えた場合には11月1日か
ら年度末までの発動となる。 第3四半期についても、 同様に10月又は11月に4月
からの累計輸入量が前年度の第1から第3四半期まで (4月〜12月) の合計輸入
量の117%を超える場合には1月1日から、 12月に超える場合には2月1日から年
度末までの発動となる (図−1参照)。
B また、 当該年度中の生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量が、 当該年度の前年度に
おける生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量に百分の百十七を乗じて得た数量とし
てあらかじめ大蔵大臣が告示する数量を超えた場合、 当該年度の翌年度の初日 (
その超えることとなった月が3月であるときは、 同年度の5月1日) から同年度
の第1四半期の末日まで緊急措置が発動される。 すなわち、 2月以前に4月から
の累計輸入量が前年度の年間輸入量の117%を超えた場合には翌年度の4月1日か
ら6月末日までの間緊急措置が発動され、 3月に4月からの累計輸入量が前年度
の年間輸入量の117%を超えた場合には、 輸入量が4月の下旬に確定するため緊
急措置の発動は5月1日から6月末日までとなる。
C 関税の緊急措置の対象となるのは、 生鮮等牛肉及び冷凍牛肉で、 牛肉のほほ肉及
び頭肉、 煮沸牛肉は対象外である。 すなわち、 ほほ肉及び頭肉、 煮沸牛肉の関税
は50%のままであり、 緊急措置は適用されない。 なお、 関税の緊急措置の対象と
なる品目の輸入統計品目番号は次のとおり。
生鮮・冷蔵 : 0201. 10-000, 0201. 20-010, 0201. 20-090, 0201. 30-010,
0201. 30-020, 0201. 30-030, 0201. 30-090
冷 凍 : 0202. 10-000, 0202. 20-010, 0202. 20-090, 0202. 30-010,
0202. 30-020, 0202. 30-030, 0202. 30-090
D 輸入数量は関税法第102条第1項第1号 (統計の作成)の統計の数値又は当該統計
の作成方法を基準として政令で定めるところにより算出する。 具体的には大蔵省
が毎月公表する 「貿易統計」 に計上された月毎の数量を順次加算する方法により
算出する。 (枝肉は枝肉のまま、 部分肉は部分肉のまま換算することなく通関時
の重量で加算する。)
E 大蔵大臣は、 当該年度の初日から毎月末までの生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数
量を翌月末日までに、 当該年度中の生鮮等牛肉又は冷凍牛肉の輸入数量があらか
じめ大蔵大臣が関税の緊急措置発動のトリガー水準として告示する数量を超えた
場合には、 その旨及び緊急措置の発動日をその超えることとなった月の翌月末日
までに、 それぞれ官報で告示することとなっている。
なお、 関税の緊急措置のトリガー水準は1995年3月31日付けの官報で次のとお
り告示されている。
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
生鮮・冷蔵 |
102,084 |
195,772 |
303,676 |
冷凍 |
79,916 |
151,492 |
233,648 |
3 豚肉の国境措置
(1) UR合意の概要
豚肉については、 1971年10月の輸入自由化に際し、 国内の価格安定制度とリンクし
た差額関税制度が導入された。 この制度では一定価格 (分岐点価格、 1994年度、 枝肉
で447.62円/kg、 部分肉で596.83円/kg) よりも高い価格で輸入されるものに対して
は定率関税 (現行5%) を適用し、 同価格以下の価格で輸入されるものに対しては安
定価格帯の中心水準として定められる基準輸入価格 (1994年度、 枝肉で470.00円/kg、
部分肉で626.67円/kg) との差額を関税として課することにより、 基準輸入価格より
低い価格での豚肉の輸入が行われない仕組となっていた (図−2参照)。
今回のUR交渉では、 EU、 米国等の関係国から、 差額関税制度は最低輸入価格制
度、 あるいは可変的関税であるとして制度の変更を強く求められ、 交渉の結果、 以下
の内容で関係国との合意が行われた。
(注) 分岐点価格とは、 差額関税と定率関税 (現行5%) とが分岐するCIF価格をいう。
@ 分岐点価格以下での輸入に適用される差額関税部分については、 内外格差に相当
する関税相当量 (TE、 枝肉の場合、 425円/kg、 部分肉は567円/kg) を従量税と
して課し、 1995年度から2000年度 までの実施期間で15%削減する。
年度毎の従量税
年度 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
枝肉(円/kg) |
414.33 |
403.67 |
393.00 |
382.33 |
371.67 |
361.00 |
部分肉(円/kg) |
552.83 |
538.67 |
524.50 |
510.33 |
496.17 |
482.00 |
A ただし、 従量税課税後の輸入価格が基準輸入価格を上回る場合には、 上回る分の
税額を免税とする。
B 分岐点を上回る価格での輸入については、 現行の従価税を適用し、 1995年度から
2000年度までの実施期間で15%削減する。
年度毎の従価格
年度 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
税率(%) |
4.9 |
4.8 |
4.7 |
4.5 |
4.4 |
4.3 |
C 2000年度の分岐点価格 (基準輸入価格) の水準を以下のとおりとする。
|
分岐点価格 |
基準輸入価格 |
枝肉(円/kg) |
393.00 |
409.90 |
部分肉(円/kg) |
524.00 |
546.53 |
D 輸入急増時に分岐点価格を引き上げる緊急調整措置 (SG、セーフガード)を導入す
る。
年度始めから各四半期の終りまでの累計輸入量が前3年間の同期の119%を超えた
場合、 年度の残りの期間について、 また、 年度間の輸入量が前3年間の輸入量の119
%を超えた場合、 翌年度の第1四半期について、 分岐点価格をガット上の譲許 (バ
インド) 水準まで引き上げる (図−3参照)。
分岐点価格の譲許水準は、 基準期間(1986〜88年)の分岐点価格から毎年度TEの削
減額と同額を削減した水準であり、 具体的には以下のとおり (図−4、 5参照)。
年度 |
基準期間 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
枝肉(円/kg) |
553.00 |
542.33 |
531.67 |
521.00 |
510.33 |
499.67 |
489.00 |
部分肉(円/kg) |
738.00 |
723.83 |
709.67 |
695.50 |
681.33 |
667.17 |
653.00 |
E 農業合意に基づく数量ベースの特別緊急調整措置 (SSG、 特別セーフガード)を適
用する。 概要は次のとおり。
・関税化に伴い輸入数量が、 一定のトリガー水準を超えた場合に発動され、 通常適用
されている関税率の1/3以下の追加関税が年度内に限り適用される。
・トリガー水準=基準トリガー水準×過去3年間の平均輸入数量+直近年における国内
消費の変動量
ただし、 トリガー水準はデータが入手可能な過去3年間の平均輸入量の105%以上で
あること。
・基準トリガー水準は過去3年間の国内消費に対する輸入割合 (市場アクセス機会)
に応じて設定される。 わが国の場合、 輸入割合は30%を超えているので、 基準トリ
ガー水準は105%となる。
市場アクセスの機会 |
基準トリガー水準 |
国内消費の10%以下 |
125% |
国内消費の10%超30%以下 |
110% |
国内消費の30%超 |
105% |
・国内消費の変動量は、 最近年における消費量とその前年における消費量の差として
計算される。
なお、 SSGには上述の数量SSGと輸入価格が基準期間の輸入価格の90%を下回った
場合に追加関税を適用する価格SSGがある。 豚肉及び単味加工品の輸入については、
差額関税制度の機能が実質的に維持されるため、 ほとんどが分岐点価格 (基準期間
の輸入価格の90%を下回っている。) での輸入となり、 価格SSGが自動発動となるこ
とから適用されないこととなった。
(2) 差額関税の関税化
差額関税部分を従量税に置換え、 この仕組を1994年度の豚の部分肉に適用した場
合の関税は、
区分 |
1994年度 |
差額関税部分を従量税にした場合 |
輸入価格が596.83円/kgを超えるもの |
5%(従価税) |
5% |
輸入価格が596.83円/kg以下のもの |
差額関税 |
567円/kg(従量税) |
となる (図−6、 7参照)。
さらに、 従量税課税後の輸入価格が基準輸入価格を上回る場合には、 上回る分の従
量税額を免税とすることにより関税は、 となり、 現行の差額関税部分が、 59.67円/
kgを境に差額関税と従量税の2つに分けられることとなる。 しかしながら、 輸入価格
(CIF) が59.67円/kg以下の豚肉の輸入はないと考えられるため、 実際には現行の差
額関税制度と同じ機能が維持されることとなる (図−8参照)。
(3) 1995年度以降の基準輸入価格等
前述のUR合意を受けて、 関税暫定措置法の改正が行われ、 これまで、 毎年度の安
定価格の決定に伴いその中心水準として決定されてきた基準輸入価格等について、 20
00年度まで各年度の水準が次のように決定された。
【部分肉ベース】
@ 通常の場合 (単位:円/kg,%)
年度 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
従価税(%) |
4.9 |
4.8 |
4.7 |
4.5 |
4.4 |
4.3 |
基準輸入価格 |
613.34 |
600.03 |
586.76 |
572.95 |
559.73 |
546.53 |
分岐点価格 |
584.69 |
572.55 |
560.42 |
548.28 |
536.14 |
524.00 |
従量税適用限度価格 |
60.51 |
61.36 |
62.26 |
62.62 |
63.56 |
64.53 |
従量税 |
552.83 |
538.67 |
524.50 |
510.33 |
496.17 |
482.00 |
A SG発動の場合
年度 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
従価税(%) |
4.9 |
4.8 |
4.7 |
4.5 |
4.4 |
4.3 |
基準輸入価格 |
759.30 |
743.73 |
728.19 |
711.99 |
696.53 |
681.08 |
分岐点価格 |
723.83 |
709.67 |
695.50 |
681.33 |
667.17 |
653.00 |
従量税適用限度価格 |
206.47 |
205.06 |
203.69 |
201.66 |
200.36 |
199.08 |
従量税 |
552.83 |
538.67 |
524.50 |
510.33 |
496.17 |
482.00 |
B SSG発動の場合 (単位:円/kg,%)
年度 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
従価税(%) |
6.5 |
6.4 |
6.3 |
6.0 |
5.9 |
5.7 |
基準輸入価格 |
622.69 |
609.19 |
595.73 |
581.18 |
567.77 |
553.87 |
分岐点価格 |
584.69 |
572.55 |
560.42 |
548.28 |
536.14 |
524.00 |
従量税適用限度価格及び従量税は適用されず、 従価税及び差額関税のみの適用となる。
C SG及びSSGの重複発動の場合 (単位:円/kg,%)
年度 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
従価税(%) |
6.5 |
6.4 |
6.3 |
6.0 |
5.9 |
5.7 |
基準輸入価格 |
770.88 |
755.09 |
739.32 |
722.21 |
706.53 |
690.22 |
分岐点価格 |
723.83 |
709.67 |
695.50 |
681.33 |
667.17 |
653.00 |
従量税適用限度価格 |
33.77 |
36.86 |
39.99 |
41.77 |
44.97 |
47.55 |
従量税 |
737.11 |
718.23 |
699.33 |
680.44 |
661.56 |
642.67 |
(4) SGとSSGの運用について
@ SGとSSGの具体的な運用については関税暫定措置法第7条の6で規定されているが、
豚肉のSGは、 単独発動の場合、 従価税と従量税はそのままで、 基準輸入価格を引き上
げ、その結果、 差額関税額が引き上げられるもので、 牛肉の措置が関税そのものを引
き上げる措置である点と異なる。
A SGの四半期毎運用の発動日の考え方については牛肉と同様であるが、 トリガー水準
が牛肉は前年度同期の117%で、 豚肉は前3年度の同期の119%と異なる。 牛肉が前年
度がベースになったのは当初、 牛肉についても農業合意のSSGの適用を我が国として
は主張したが、 SSGは今回新たに関税化される品目に限って適用が認められ、 牛肉に
ついてのSSGの適用が認められなかったため、 牛肉輸入自由化に際し導入されたSGと
同様に前年度の水準がトリガーのベースとして交渉が行われたことによる。
また、 牛肉の場合には生鮮等牛肉と冷凍牛肉とがそれぞれ別個に運用されるのに対
し、 豚肉の場合には生鮮・冷蔵豚肉、 冷凍豚肉、 豚のくず肉、 ハム及びベーコン等の
加工品が一体として運用される。
B SGの発動日について、 第1四半期の例をあげると、 4月の1カ月間又は4、 5月の
2ヵ月間の輸入量が前3年度の第1四半期 (4〜6月) の輸入量の119%を超えた場
合には、 緊急措置は7月1日から翌年の3月31日 (年度末) まで発動される。 しかし
ながら、 通常は4月、 5月の1、 2カ月間で前3年度の第1四半期 (3カ月間) の輸
入量の119%を超える可能性は少なく、 超える場合には6月までの3カ月間の輸入量
が超える可能性が高いと考えられる。 この場合、 6月の輸入量が判明するのは7月下
旬となるため、 緊急措置は8月1日から年度末までの発動となる。
第2四半期についても、 第1四半期の輸入量が前3年度同期の輸入量の119%を超
えることなく、 4月から7月又は8月までの4、 5カ月間の輸入量が前3年度の第1
及び第2四半期 (4〜9月の6カ月間) の輸入量の119%を超えた場合は10月1日か
ら、 4月から9月までの輸入量が前3年度同期の輸入量の119%を超えた場合には11
月1日から年度末までの発動となる。
第3四半期についても、 同様に10月又は11月に4月からの累計輸入量が前3年度の
第1から第3四半期まで (4月〜12月) の合計輸入量の119%を超える場合には1月
1日から、 12月に超える場合には2月1日から年度末までの発動となる。
また、 2月以前に4月からの累計輸入量が前3年度の年間輸入量の119%を超えた
場合には翌年度の4月1日から6月末日までの間緊急措置が発動され、 3月に4月か
らの累計輸入量が前3年度の年間輸入量の119%を超えた場合には、 輸入量が4月の
下旬に確定するため緊急措置の発動は5月1日から6月末日までとなる(図−3参照)。
C SGの対象となる品目の輸入統計品目番号は次のとおりで、 輸入数量は関税法第102
条第1項第1号 (統計の作成)の統計の数値又は当該統計の作成方法を基準として政
令で定めるところにより算出する。 具体的には大蔵省が毎月公表する 「貿易統計」
に計上された月毎の数量を順次加算する方法により算出する。 (枝肉は枝肉のまま、
部分肉は部分肉のまま、 ハム及びベーコン等の加工品は加工品のまま、 換算すること
なく通関時の重量で加算する。)
0203.11-020, 0203.11-030, 0203.11-040, 0203.12-023, 0203.12-021,
0203.12-022, 0203.19-023, 0203.19-021, 0203.19-022, 0203.21-020,
0203.21-030, 0203.21-040, 0203.22-023, 0203.22-021, 0203.22-022,
0203.29-023, 0203.29-021, 0203.29-022, 0206.30-093, 0206.30-092,
0206.30-099, 0206.49-093, 0206.49-092, 0206.49-099, 0210.11-010,
0210.11-020, 0210.12-010, 0210.12-020, 0210.19-010, 0210.19-020,
0210.90-011, 0210.90-019, 1602.41-011, 1602.41-019, 1602.42-011,
1602.42-019, 1602.49-210, 1602.49-220
D 1995年度のSGのトリガー水準は次のとおり。
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
146,965トン |
286、215トン |
440,494トン |
E なお、 豚肉については差額関税を関税化した品目であり、 農業合意に基づくSSG
が適用されるが、 SGが分岐点価格 (基準輸入価格) を引き上げる措置であるのに
対しSSGは関税を引き上げる措置であり、 発動されても分岐点価格は変わらない。
ただし、 関税が引き上げられることにより、 基準輸入価格は上昇する。
F SSGは、 SGが四半期毎の運用であるのに対し、 年度間の運用となっている。 すな
わち、 トリガー水準として告示される輸入基準数量は年度間の数量で、 年度始めか
らの輸入量がこの数量を超えた場合、 超えた月の翌々月の初日からその年度の末日
まで発動される。 例えば、 年度始めからの輸入量が1月に基準輸入数量を越えた場
合、 3月1日から31日までの間の発動となる。 2月に超えた場合には翌々月が、
翌年度となるため、 発動されないこととなる。
輸入量の計算には、 SGに係る輸入量の計算に使われる品目(上述C参照)の他、
輸入統計品目番号0103. 92-011, 0103. 92-012, 0103. 92-020の生きた豚につ
いては頭数に54を乗じて換算した数量が加えられる。 また、 発動日前に輸出さ
れた輸送途上のものについては適用外となる点等がSGと異なる。
なお、 SSGのトリガー水準である1995年度の基準輸入数量は516,674トンとなっ
ている。
G 大蔵大臣は、 当該年度の初日から毎月末までの豚肉等の関税の緊急措置に係る輸
入数量を翌月末日までに、 当該年度中の豚肉等の輸入数量があらかじめ大蔵大臣が
関税の緊急措置発動のトリガー水準として告示する数量を超えた場合には、 その旨
及び緊急措置の発動日をその超えることとなった月の翌月末日までに、 それぞれ官
報で告示することとなっている。
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